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糖尿病を発症しない男性は小型魚が好き:国立国際医療研究センター

2015年12月11日

糖尿病を患うと認知症になるリスクが高まりますが、
反対に認知症を防ぐ天然魚油が糖尿病にも有効なことを報告した疫学的調査があります。
調査研究は独立行政法人 国立国際医療研究センター国際保健医療研究部
(Department of Epidemiology and Prevention International Clinical Research Center
:National Center for Global Health and Medicine)が実施している、
数々の大規模疫学的調査(コホート)によるもの。
特筆すべきは不飽和脂肪酸のオメガ3が多い魚種を報告していること。
コホート調査は聞き取り、自己申告をベースに調査しますので、
正確性に劣る反面、範囲が大規模ですからトレンドをつかむには適しているといわれます。

温暖化で沿岸から離れて回遊しているためにサンマは
高値が続きますが他の魚に較べれば安価.

1.魚介類摂取で男性の糖尿病発症のリスクが低くなる

2011年8月には国立国際医療研究センター国際保健医療研究部が
米国臨床栄養学会誌(American Journal of Clinical Nutrition)に発表した「魚介類摂取と
糖尿病との関について
(Fish intake and type 2 diabetes in Japanese men and women):
魚介類摂取で男性の糖尿病発症のリスクが低くなる)という調査報告が
話題となりました。
バイオ合成サプリメントで実験が行われることが多いオメガ3ですが
この調査研究は天然のオメガ3を使用し、魚種に関する研究をしていることも
ユニークです。

(写真上)シコイワシ(セグロ)(写真下)ウルメイワシ(写真下右)マイワシ
「まいわし、うるめいわし、しこいわし」が安くて美味しい三大イワシ.

2015年から2016年はイワシの当たり年.激安とはいえ漁獲量で価格が大幅に異なりますから
その時大量に獲れた種類を「獲れたて」で食べましょう.
オメガ3脂肪酸は酸化しやすいですから古いと動脈硬化の原因となります.

2.調査主任は国際保健医療研究部の南里明子上級研究員

南里明子上級研究員、溝上哲也博士(国際保健医療研究部長)ら関係者は
今回のコホート調査報告の主旨を下記のように述べています。

魚に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)は、循環器疾患に対して
予防的に働くことが知られています。
糖代謝に関しては、インスリン分泌やインスリン抵抗性が
天然のn-3系脂肪酸の投与によって改善するという実験研究があり、
魚の摂取による糖尿病のリスク低下が期待されます。
その一方、魚に蓄積した水銀やダイオキシンなどの環境汚染物質による
糖代謝への悪影響も懸念されています。
そこで、魚介類摂取と糖尿病発症との関連について検討しました

3.国立国際医療研究センターのコホート調査

厚生労働省所管の独立行政法人 国立国際医療研究センター:
(National Center for Global Health and Medicine: NCGM)は
生活習慣病の予防に役立つ研究をしています。
調査は1990年と1993年から全国11か所の保健所の協力で
5年間実施されました。
参加したのは糖尿病経歴のない45才から75歳の22921名の男性と
29759名の女性。
147種類の食品摂取を自己申告の聞き取りにより確認し糖尿病の発症を
ロジススティック回帰モデル(logistic regression)を使用して分析。
調査は魚介類摂取量により4つのグループに分類。
10年後に2型糖尿病発症の有無を調査したところ、調査期間の5年間で
発症したのは572名の男性、399名の女性、合計971名でした。

4.魚介類摂取が多いほど糖尿病発症のリスクが低下

その結果、男性では魚介類摂取が多いほど糖尿病発症のリスクが低下する
傾向が認められ(一日に170グラム:中型のアジ、サンマ、サバ1匹くらい)、
摂取量が最も少ない群(40グラム)に比べ、最も多い群の糖尿病発症リスクは
約30%低下。

女性の魚介類摂取と糖尿病発症との関連は不明だったそうです。
脂肪が男性より多い女性はオメガ3の吸収率が劣ることが考えられとのこと。
(家事をする女性特有の質素な食生活、専業主婦の運動不足も考えられます)
疫学調査では作用機序がわからないために今後の課題としています。

南里明子上級研究員らによれば、「男性が糖尿病発症のリスクが
低下するという結果は魚に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸や
ビタミンDのインスリン感受性やインスリン分泌に対する好ましい効果が考えられ、
女性は体脂肪が多いため脂溶性の環境汚染物質の影響を受けやすいのかも」
とのことです。

5.魚種による天然オメガ3の含有量

注目すべきは魚種により効果がかなり異なることです。
中小型の鯵(あじ)・鰯(いわし)、秋刀魚(さんま)・鯖(さば)、鰻(うなぎ)が
糖尿病リスク低下に貢献。
日本産鮭(さけ)、鱒(ます)、鰹(かつお)、鮪(まぐろ)、鱈(たら)、鰈(かれい)、鯛(たい類)はリスク低下との
関連が見られない。
また脂の多い魚(中小型魚に加えてサーモン、トラウト類、タイ類)に効果があり、
脂の少ない魚(カツオ、マグロ、タラ、カレイなど)には効果が見られなかったとのことです。
魚類加工食品、イカ、タコ、エビ、貝類、干物などは関連が見られないそうです。

最終更新日 2021年4月5日

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