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第四十四話:日本企業に求められる挑戦型「ユニークアニマル社長」 前例踏襲のサラリーマン社長はもう要らない

2015年3月27日

■日本型「垂直統合」だけでは「水平分業」にかなわない
日本人の同質性というか没個性的な思考と行動、すなわち横並び精神は、戦後復興から
経済成長期までは素晴らしく機能しました。
しかし、昨今のグローバル経 済時代にはそれが逆効果を生んでおり、成長の芽を摘んでしまっているどころか、
その間隙をうまく突いてきたアップルやサムソン、シーメンス、GE、ワーゲ ン、ホンハイなど
グローバル企業のセグメント戦略に翻弄されてしまったと見受けられます。

要するに、商品の差別化に必須の「マーケティング・セグメンテーション(市場・顧客層対応)」の失策と、
競争力失墜の主要因となっている自前主義・自系列 完結型の大量生産指向、
いわゆる「垂直統合」にこだわるあまり、現代の海外有力企業には常識とされる「水平分業」を活用した
コスト競争に敗れてしまったわ けです。その結果、中途半端な一律的価格戦略の犯す致命的打撃を
被ってしまったのです。
「Pricing(価格設定)」と「Promotion(販売促進)」という<2P:マーケティングの市場戦略対応にしめる
二大施策>の失敗によって、独 創性と高付加価値が約束してくれる高収益力を生むべき
ブランドイメージ構築(プルマーケティング)と、 大衆普及品を薄利多売すべきプッシュマーケティング の
使い分けができないまま、中途半端な価格・宣伝販促戦略にとどまるビジネス・イノベーション哲理欠乏症に
陥った結果なのです。

■「いつか来た道」を再現する手法と地方再生のカギとなる企画力
グローバル市場は、今後ますます多様化していくでしょうから、まず成熟国家市場である欧米や
日本で成長が見込める医療・介護・福祉・教育・環境・省資源・ 宇宙海洋開発などに注目すべきだと考えます。
こうした分野は、これまで規制が強すぎ、その緩和が急がれますが、日本企業や学究界は極めて
先端的で革新性の ある技術やノウハウを多く所持しておりますから、その起業化も必達です。
日本全国の地方には、町工場・村工房が数多くあり、金型を始め、刃物、メス、ハサ ミ、
ニッパー、錐、鑿、バネ歯車など工具・治具に秀でた技術があり、鉄や鋼、鋳物、銅等大小金属加工以外でも、
和紙、金箔、竹、木彫り、漆器、磁気陶器、 染色織物など、伝承・伝統職人技術が生み出す優れもの”が
数限りなく存在し、目立たないながら、欧米を始め世界の隅々から使い勝手や性能価値と
品質信頼 性を勝ち得ており、ここにも秘められたチャンスが潜んでいます。ことに最善のコラボが
得られるなら、世界的大ヒット間違いなしと言えるでしょう。
一方では、<BRICS新興経済圏、特に中露が踊り場にさしかかり、これに次ぐ>アジア、アフリカ、
中南米市場が経済発展を至上命題として、インフラ強 化、生活文化向上を求めて物資やサービス需要が
急拡大してくることは自明ですから、戦後1950~60年代のわが国の体験が大いに
生かされるチャンスでも あります。
それには、リバース・テクノロジーやマーケティング・ルネッサンスといった「いつか来た道」を
再現する手法と企画力が問われます。
以下に、こう した二極面で明るい未来が期待される産業の芽吹きを取り上げてみます。
<アベノミクスも支援に取り組んではいますが、政治依存よりも、民間=産学主導の
積 極的ベンチャーこそ切望されます。>

■〝逆進化〟の勝利も
ノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は、iPS細胞の実用化を急ぎたいと何度も
述べておられますが、日本の医療産業は規制緩和さえ進めば、必ず世界トップへの道が開かれるものと
期待されます。
スパコン「京」は、宇宙誕生の秘密解明につながる暗黒物質2兆個の動きをシミュレーションすることに
世界で始めて成功しました。
その戦略プログラムは、ハ ヤブサ探索のGPS活用、地震津波の予測や新薬開発など、3
ダースにも及ぶ案件を抱えているそうです。その中にiPS細胞医療命題も含まれているそうで す。
ほかにも、車の衝突回避や長寿DNA解明など、共同研究の一般利用枠が60以上あるようです。
山形の佐藤繊維は、世界一の極細モヘヤ糸(アンゴラ山羊の毛1グラムから歴史上絶対不可能とされた
世界最長の51メートルまで極細糸を伸ばした)を使って オリジナルニット開発商品を超高級品として、
自社店舗に導入、有名デパートでも大ヒットし、高価格にもかかわらず、シャネル、ランバン、サンローランなど の
世界的デザイナーブランドからも大量受注しております。
同社の躍進の背景には、既述のような日本古来の伝統技術を生かした逆転の発想があり、物造りの
常識を覆す工夫と努力の物語がありました。
廃棄寸前だった前 近代的旧式紡織機を改良し、職人芸で、極細の糸を紡ぐことに成功したことは、
コンピューター制御に頼る現代版紡織機を超えた〝逆進化〟の勝利といえます。
今や、欧米各界のセレブや、新興国の億万長者の衣食住や身の回り品、小道具と装飾品・細工物には
、Made In Japan が密かなブームを呼んでい るようです。

■自前主義から脱却しつつあるトヨタ
アメリカのラスベガスで毎年開催されるCESは、<20世紀中は>世界一の家電見本市でしたが、
<21世紀に入ってからは、>他産業の進出が目立つように なり、特に<数年前から>自動車メーカーの
出展が<急増して来ました。>そこから展望されるのは、「情報通信技術の進化を続ける
自動車の未来形」なので す。
2年前にトヨタが公開した「運転手が居なくても自動で走る実験車両」は、「走る・曲がる・止まる」といった
3機能に加えて「スマートフォンを介してイン ターネットにつながる機能」が搭載された車で、
もはや乗り物ではなく「走る情報端末」として〝メディア化〟することで、無限の可能性を秘める
「もっと楽し く便利な未来商品」へと変身するのです。
フロントガラスに表示される情報は「つぶやき操作」が可能で、走行中にレストランやホテルの予約もでき、
駆動系や制御系のソフトをネットワーク経由でアッ プデートしたり、充電量などの確認とか、
ディーラーからのメンテナンス情報も手に入れられるので、次世代環境対応のプラグインハイブリッド車と
電気自動車 が、個人を暮らしや社会へつなげる役を果たすわけです。
トヨタといえば、これまで電子部品まで内製するなど、技術の自前主義を貫く垂直統合に固執してきましたが、
スマートカー実現には不可避のICT企業と組 み、マイクロソフトのクラウドサービスにデータセンターを移したり、
SNS構築をセールスフォース・ドットコム社と提携するなど、異業種連携を志向する
「オープンな水平分業」に転換し始めたのです。
すでに、フォードとマイクロソフトやパナソニックとGMとの連携を始め、アウディやダイムラー、日産、ホンダも
車載情報システムでICT企業とのパート ナーシップを推進中です。
こうした情報端末化した車の情報発信がクラウドで生かされると、次世代交通システムのスマート化が
図られることになり、社会シス テムに組み入れられることが期待できます。
この種のスマートカーは、数年のうちに7|8割に達するとも予測されていますので日本メーカーの
健闘と国際標準 化獲得が期待されています。
<共同開発で特筆すべきは、安全走行の鍵となる部品や創造の「センター技術」と
「制御ソフト」の共通化・開発コストの低減が不可避であり、世界共通の課題でもあります。>

■トップは「前例踏襲・守成派」より「前線突破・創業型の攻めダルマ」 今、世界の注目を 得ている
代表的な日本企業は、世界でダントツの産業用ロボットを
製造する(ロボットがロボットを生産する)ファナックです。
株式市場でも話題を呼んでいま すが、それよりも、世界の製造工場が人件費のアップに悩まされており、
高品質量産を確保するマジックが生産ラインの自動化ですから、高度なロボットが最大 の解決策になっており、
ファナックの高機能ロボットは引く手数多となっているのです。
同社の工作機械の数値制御装置は世界一でシェアーは3分の2以上を占 めているそうです。
物まね上手の韓国、中国、台湾とて、さすがこの種の技術領域には手も足も出ない状況で、
ファナックや安川電機など日本製ロボットの独壇 場となって居る訳です。
一方で、中核コア技術特許を持つプリント配線用レジストインクのトップ企業・太陽インキと互応化学が、
量産と販売力を持つ台湾企業と組んだのも、経営トッ プ決断型の水平分業の成功例です。
<こうした取り組み、連携、合弁事業も雨後の竹の子状態で増えているようで、
今後を見据えても心強い限りです。> >成 功する経営者は「ユニークアニマル」といわれるように、
独特の資質と経営姿勢が問われます。
グローバル競争に勝つには、「異種交配性」が生み出す革新を軌 道に乗せる強い挑戦型リーダーが
求められます。
前例踏襲・守成派のサラリーマン社長が通用しなくなってきた現在、前線突破・創業型の攻めダルマ的な
トップ が待たれます。そして、日本は「無度なモノを生み出すだけでなく、よろずの智恵、
つまりソフトも提供・発信できる世界唯一の国」になれると思う次第です。

Mount Rushmore

最終更新日 2021年10月23日

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