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第二十三話:「ウクライナ危機は複雑怪奇・プーチンはどう出るか」

2014年7月25日

ウクライナ東部上空で撃墜されたマレーシア航空機の残骸写真を専門家が分析したところ、ミサイル攻撃が明白であるとして、米紙などの見方によると、親ロシア派武装集団が民間機を“ウクライナ軍用機であると見誤った”攻撃であったとの報道がされています。

そのミサイルの高性能ぶりから、ロシア製の地対空ブクだとして、多くの西側マスコミがロシアの関与ありと即断しプーチンの介在を匂わせ、「プーチンの過ちがロシアを窮地に」とか「策に溺れたプーチン」といった論評が目立つようです。

しかし、今のところロシアは国際的な調査を妨害したり、ウクライナ東部へ派兵したりといった策略を巡らせてはおりませんし、事故当事者であるマレーシアとウクライナを差し置いて、欧米の一方的なロシア糾弾のヒートアップだけが取りあげられているように見受けられます。

確かに犠牲者の多くがオランダ人・英・独人やオーストラリア人だったことと、ウクライナをめぐるEUとロシアの綱引きが背景にあることは理解できますが、是非論を急ぐほど、この問題は単純ではなく、ウクライナの財務危機、経済不況、多民族事情が絡む内政・外交・安保問題の輻輳と混乱、内戦テロなど、複雑怪奇な背景にも留意すべきであると考える次第です。
 
つい数か月前の国際報道を振り返ってみても、米国の右派にはプーチン大統領の安定度を自国のオバマ大統領の脆弱さと対比して、ロシアの方が断然上位だと言い、「決断力のあるプーチンこそ、真のリーダーだ」と持ち上げる評価を与える一方で、英国の一政治家も「プーチン氏こそ、最も素晴らしい世界的指導者だと思う」と発言したばかりです。

確かにロシアが、ウクライナの分離独立派武装集団にミサイルを供与したかもしれませんが、プーチンがクリミヤ併合後、東部ウクライナ諸州に関与したとか、直接的な指令を下したという事実はなかったようですし、今般の事故が、親露派過激兵士による誤射であって、あくまでウクライナの内戦に起因したものという見方も有り得るのではないでしょうか。

ロシアにとっての地政学上、海路アクセス面や軍事面からも、クリミヤの価値に比べ、仮に親露と言えども、ウクライナの中で最も貧困な東部二州のロシアへの併合期待観は、無礼な表現をお許し頂ければ“悪女の深情け”乃至は“有難迷惑”に過ぎないのではなかろうかと思われます。
 

そもそもウクライナ危機というか、不安定化には、欧米対ロシアの綱引きが背景にあって、NATOは東方に拡大しないという約束を欧米側が先に破って東部(ロシア国境)から黒海にまで手足を伸ばそうとしたことに慌てたロシアが、軍事機密の集積地・クリミヤを併合したことからも伺えます。

また財政破綻して、ロシアから輸入したガス料金が未払いとなったウクライナに対し、欧米側はロシア側の支援額に比べ、極めて微小な資金的援助しかせず、むしろ借金の踏み倒しを煽るような素振りを見せ、EUが貿易協定を絡めて自らの市場に組み込もうと画策するなど、やや公平性を欠くような動きを見せたことが、ロシアの過敏な反応を呼び起こし、問題の根を一層深めてしまったようです。

アメリカの国際政治面での退潮と中東からの軍事撤退や欧州経済の劣化がウクライナに十分な救いの手を差し伸べ得なかったことは、目下のガザ戦乱とも同根ではないかと思えます。
 
そうした背景には、ユーラシア大陸の東西資源産業に暗躍するロシア系とウクライナ系両ユダヤ人資本家や商人達による両にらみ策略も大きく影響して居るとみられます。

元来、西部ウクライナは、ポーランド王国や東欧民族文化圏の影響を受けたウクライナ語を話す民族が大半で、ソビエトの影響が強かった東部ウクライナにはロシア語しか話せないロシア系民族が多く住み、度重なる飢饉や農工業のアンバランスなどに悩まされ、チェルノブイリ事故で負わされた大負債など、経済苦境からも、親欧・親露両派の諍いは絶えなくなっていました。

その内乱に関して「市民デモ」との国際報道が一般的でしたが、実際は経済利権と民族激突のテロ活動であり、リビアやシリアから流入した武器まで持ち出される一方、ウクライナ政府軍と親露派武装集団による軍事内戦の長期化というのが実情だったのです。

こうした問題の解決策としては、早くから論議された「フィンランド化」乃至は、朝鮮半島のような「分裂」しか無さそうですが、出来るなら欧米とロシアの双方が、決して破壊的な行動に出ることなく、大人の対話と行動で、平和裏に「フィンランド化」で納めてもらいたいものです。

西側報道によると、欧米による対露制裁強化は「プーチンを窮地に追い込む」との論調が主流ですが、逆に策士プーチンは、こうした外からの逆風を上手く利用して、クリミヤ後の戦術転換を図り、ロシア内の過激ナショナリストによる批判を封じ込める傍らで、オリガルヒ財閥や国際ユダヤ資本を味方につけ、「災い転じて福となす」成果を狙っているのではないでしょうか。
 
時あたかも、ウクライナ議会の国粋主義右派と親欧派の二派が連立を離脱しました。ヤツェニュク首相が辞任し、解散権を握っているポロシェンコ大統領による総選挙が予想されますので、ウクライナ自体にも何らかの変化が期待され、反政府軍掃討作戦に至る可能性も出てきました。

北欧や東欧から駆けつけ、民兵組織に合流してウクライナ政府側援軍を買って出る戦闘部隊も、リビアやシリアの元民兵が武器を手に、親露・反政府軍に加わりロシア人共々戦闘に参加している外人部隊も、ウクライナ新政府や欧米・ロシアの出方を注視して居る筈です。

外人と言えば、経済人・政治家・ジャーナリスト達も、これ以上ウクライナに対する手前勝手な介在や偏向姿勢から脱皮して、冷静な傍観者、善意の仲介者に徹することこそ、ウクライナが真っ当な自立を取り戻す契機となることを自覚して頂きたく思います。日本の各界も是非とも“良識的対応”に徹して欲しいものです。

最終更新日 2021年10月13日

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