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第五十七話:JR九州の豪華寝台車「ななつ星」の狂騒:観光立国の柱になるのか?2013/1

2013年11月18日

今月(2013年11月)から運行されているJR九州の豪華寝台列車「ななつ星」
予約が1年先までとれないとか。
JR九州は主要都市や観光地を結ぶ鉄道を独占している旧国鉄。
その企画なら需要はあるだろう。
陸の豪華客船、オリエント急行を超えた豪華列車、夢の周遊観光列車、などなど
最大級の美辞麗句が踊っている。
1週間でわずか30名程度しか運べない、運ばない列車に30億円の投資。
予約が難しいといっても、庶民が抽選で順番を待てるわけではない。
料金は九州を一周するのに3泊で2人1室80万円から110万円。 
富裕層しか受益できない仕組みに関わらず、堂々と「JR九州企画」と公表している。
公共性のあるJR九州自らの企画と聞いて耳を疑った人も多かっただろう。
 
身近に目を転じれば、破綻した東京電力が放射線汚染ばかりか、経済的負担増を国民に強いている。
国民は将来の安定経営を望み、使用料金引き上げ、国の税金投入を甘受。
民営とはいえ現在の電力供給はまだ公共事業。
公共事業は常に国民に公平なサービスをするが、運営が苦しい時は受益者が分担して
支えなければならない。
その東電が、(もし:if)立ち直った後に料金引き下げはやらず、所有地を利用して
ごく一部の富裕層相手の豪華ホテルなどに多額投資.。
それでは国民が納得しないだろう。

JR九州が豪華寝台車で観光立国、地域振興、話題性を目論むならば営業路線を提供し
HISなど純粋な民間企業に任せたらよい。

JRの原点は100年以上続いた国民の足。
余裕があるのなら世界有数の高額運賃引き下げが先ではないか?
分割民営時の経緯からも、経営難の北海道、四国などを援助する必要もある。


富裕層に限られるオリエント急行など観光寝台列車は純粋な民営企業の運営が主体。
それもJR九州のスタッフが考えるほどオリエント急行は欧米人には華美、贅沢ではない。
観光鉄道でない時代はファーストクラスとはいえ交通手段だった。
ある程度のレベル層であれば、あの程度の居住空間は普通。
もっと立派な内装の家に住んでいる人が珍しくない。
趣味がある人ならば工芸品手法の寄木や螺鈿、天然素材を多用した装飾に
日常的に囲まれている。
このような層は、観光列車となったオリエント急行には関心が薄い。
結局、「ななつ星」は、現在のオリエント急行同様にハイソサエティーにあこがれる
新興富裕層の需要が
大半となるだろう。
 
現在でもJR九州の「ゆふいん(由布院)の森」「つばめ」などは国際的に
一定のレベルに到達している。
観光立国にはこの程度で十分。
日本に来てもらいたい人たちは理解度を深めてもらいたい近隣諸国庶民や、
日本の政治経済に影響力を持つ要人。

庶民の大半は富裕層ではなく、社会に影響力を持つ要人は華美、贅沢を好まない。
一見で華美とわかることは気恥ずかしい。
アジアや欧米のホテル、レストラン業者が中国、インド、台湾、韓国、
そして日本の新興富裕層の取り込みに、華美なホテルやレストランを
世界中に作っている。
実際に中東産油国の王族やインド、中国の成金が占拠している。
昨日今日の大国ではない日本が、そんな軽薄な風潮に追従することはない。
 
JR東日本が札幌への寝台車カシオペアを開発した時は、当時の松田社長が
一車両2億円以上と見積もられた寝台車両建造費を半減させようと努力し、ほぼ実現した。
利用料金の高騰を抑制し、一人でも多くの人が利用できることが視野にあったから。
同じころ、平均所得者層の家族旅行を支援したいと1部屋1泊5千円程度で宿泊できる
ホテル・チェーンも企画。
実現に関係組織を横断するチームを立ち上げて取り組んだ。
様々な内外の障害があり、いまだにファミリーオ、フォルクローロは1人5千円の壁を
乗り越えられないが、新生国鉄の正しい方向性を示したものだろう。

(しらす・さぶろう)

最終更新日 2020年7月30日

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