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L-シトルリンが乳酸を減少させ筋肉疲労を回復させる

2013年8月3日

文中のL-が無いシトルリンもすべてL-シトルリンのことです.

1. L-シトルリンの筋肉疲労回復効果の実験

欧米では、シトルリンが筋肉を酷使するアスリートに愛用されていますが、その歴史は比較的新しいものです。
シトルリンは心臓、脳、気管支など血管に関わる疾病や、性機能の改善が期待できます。
その作用機序解明は、窒素による血管拡張のメカニズム発見により説明されていますが、
筋肉エネルギーに関する作用機序解明は不明でした。
その糸口が見出されたのは2002年ごろからです。
シトルリンの筋肉エネルギーに関する作用機序解明の論文はアメリカばかりでなく、
イタリア、フランス、ドイツなどに多いようです。
筋肉疲労を訴える人を対象にシトルリンの筋肉回復効果を測定した実験がフランスにあります。

フランスでの実験は磁気共鳴装置(P-Magnetic Resonance Spectroscopy (MRS)を使用し、
この種の実験の定番である、指の屈伸時(深指屈筋:musculus flexor digitorum profundus)の代謝を測定しました。
測定されたデータはニューメソッド・リサーチ社(New Methods Research Inc)のソフトウェアーである
NMR1 spectroscopysoftwareで処理されています(実験の詳細は省略)。
近年は磁気共鳴装置 (MRS)の活用によって脂肪の蓄積、代謝の詳細が検知できるようになり、
筋細胞内脂肪(IMCL)(Intramyocellular Lipid)や
筋細胞外脂肪(EMCL:extramyocellular lipid)の相違によるエネルギーの産生、
肥満、2型糖尿病、高脂血症などと運動効果の関連が測定できるようになりました。

 

2. L-シトルリンはアデノシン3リン酸(ATP)を増やし、乳酸を減少させる

フランスにおける実験では、シトルリンを投与した場合と、シトルリンなしの場合を比較した代謝が測定され、
シトルリンを投与した場合にエネルギー源のアデノシン3リン酸(ATP)(adenosine triphosphate)が34%増えました。
また骨格筋にエネルギー源として貯蔵されるクレアチンリン酸(phosphocreatine:creatine phosphate) の
回復が20%増え、疲労感は大幅に解消されました。
クレアチンリン酸はアデノシン2リン酸(ADP)にリン酸を渡して素早くATPを産生させるために
筋肉中に存在する重要な物質です。
この実験ではシトルリンが筋肉疲労回復に機能するATP回路(クエン酸回路)(後述)を活性化、ATPを大量に作り出し、
疲労の元となる乳酸を減少させることを実証しています。ATP回路(クエン酸回路)は
シトルリンが主役を務める尿素回路(オルニチン回路)とも接続する相互関係があります。

 

3. ミトコンドリアが多いほど筋力が優れ、疲労回復が早い

実験ではシトルリンがATP(アデノシン三リン酸)を活性化させる効果が検証されましたが、
ATPの産生には幾つかの経路があります。最も産生数が多いのはミトコンドリアがエネルギー代謝する
ATP回路(クエン酸回路)を経由するものです。
したがって細胞内のミトコンドリアの数が多いほどATP回路(クエン酸回路)のエネルギー産生は活発になります。
ミトコンドリアは細胞内に多数存在する小器官ですが、一つの細胞に最大5000くらい存在するといわれます。
ミトコンドリアの数は肉体の部位や遺伝により大きなバラツキがあります。
心筋など筋肉活動が盛んな部位ほどミトコンドリアの数は多くなります。

 

4. ミトコンドリアとゲルマン系民族の優れた身体能力

活力の源であるミトコンドリアを遺伝子学的に分析することにより様々な民族の混血がわかるようです。
オリンピックのメジャーな種目であるトラック競技、投擲競技、格闘競技、水泳競技の「走る、飛ぶ、投げる、格闘する、泳ぐ」では、
ゲルマン系の活躍に目覚しいものがあります。
ゲルマンの血統はアングロ、ケルト、バイキングなど西欧民族のルーツといえ、体躯、筋力に優れた戦闘民族を形成しています。
日本では競技環境を整えて選手育成をしても限界があります。
メジャー種目に世界を制覇するほどの有力選手が生まれてこない主原因は民族的な血統の相違です。

短距離でオリンピックを制してきたクリスティー、ベーリー、ジョンソン、ウサイン・ボルト選手のように
抜群の身体能力を示すジャマイカ人も約500年間に他民族との混血が繰り返されたと推測できます。
1500年代にスペインに征服され、1600年代半ばにイギリス領となったジャマイカは他の植民地同様に原住民は壊滅しており、
欧米系、アフリカ系、インド系など多数の民族の混血人がほとんどであることは疑う余地がありません。

 

5. ATP回路(クエン酸回路)を経由してアデノシン3リン酸(ATP)が産生される

ATP回路(クエン酸回路)発見のきっかけは、ドイツの二人の学者による鳩(はと)の
強靭な胸筋力と持久力の研究からといわれます。
その後、この代謝経路が回路となることを発見したクレブス博士はシトルリンが
アンモニアを解毒する尿素回路(オルニチン回路)発見者でもあり、双方には密接な関係があります。
クエン酸回路(Citric Acid Cycle)は炭水化物などからのぶどう糖(グルコース)や脂肪酸が、
細胞内に多数存在する小器官のミトコンドリアでエネルギー源として利用される仕組みを解明したものです。
エネルギー源となるATPを作り出す最大の原資は炭水化物が分解されたグルコース(ブドウ糖)です。
最大のエネルギー源であるグルコース(ブドウ糖)は分解されてピルビン酸となり、アセチルCoAをへてコハク酸となりATP回路(クエン酸回路)に入ります。
ピルビン酸は酸素なしでも二分子のATP(アデノシン三リン酸)を作り出しますが、
さらにたくさんのATPをつくるためにはアセチルCoAに変化させるのが理想ですが、
それには酸素が必要です。

最終的にミトコンドリア内膜に蓄えられた電子が十分であればグルコース一分子から
ATP回路(クエン酸回路)を経てATPが38個生成されます。
ATP回路では(β酸化された)脂肪酸もエネルギーに変換されます。
1930年代にドイツでエネルギー産生の代謝経路が発見された当初は、コハク酸のような炭素原子が4個ある
カルボキシル基の代謝経路(グルコース-ピルビン酸ーコハク酸ーフマル酸ーリンゴ酸ーオキサロ酢酸のように代謝される)でしたが、
その後にクレブス博士によりグルコース(ブドウ糖)や脂肪酸の代謝物であるコハク酸が
さらに代謝を続けて回転することが解明されました。
回路(サイクル)とは、ある物質が生体内の酵素により様々な物質に変化しながらも、
振り出しに戻るように再合成されることから付けられた化学用語。
再合成の途上で新たな物質を作り出したり、消滅させたりします。これを代謝と呼んでいます。
細胞が創出するエネルギー源のアデノシン三リン酸(ATP)(adenosine triphosphate)にちなんだ
ATP回路(adenosine triphosphoric acid cycle)にはいろいろな呼び名があります。
発見者にちなんでクレブス回路(Krebs cycle)、クエン酸が関与することから、クエン酸回路(Citric Acid Cycle)、
ノーベル賞受賞の対象となった、発見者クレブス博士の論文にちなんだトリカルボン酸回路(TCA回路:tricarboxylic acid cycle)
とも呼ばれますが、これは全て同意語です。

6. 白色筋肉(速筋)と赤色筋肉(遅筋)

人体の細胞には炭水化物から作られるグリコーゲンが貯蔵され、活力(スタミナ)の素となっています。
貯蔵量は筋肉が一番多く、次が肝臓です。
骨格筋にはハンマー投げなどの投擲(とうてき)競技や短距離レースなど瞬発力の必要な運動時に
使用頻度が高くなる筋肉があります。
これが白色筋肉と呼ばれる収縮力の速い筋肉(速筋)です。その量は人により異なりますが、通常は筋肉総量の半分くらいです。
白色筋肉では筋肉中のグリコーゲンがブドウ糖(グルコース6-リン酸)に分解されてエネルギー源となります。
反対に運動速度が低いマラソンなど長時間運動の場合は収縮の遅い赤色筋肉(遅筋)がはたらき、
血中の脂肪酸、遊離脂肪酸がエネルギー源となります。
[食餌で摂取されたグルコース(ブドウ糖)は、肝臓ではグルコキナーゼ(glucokinase)により、筋肉ではヘキソキナーゼ(hexokinase)により、
リン酸化されて、グルコース 6-リン酸に変換されます。
グルコース 6-リン酸は、筋肉や肝臓では、グルコース 1-リン酸を経て、グリコーゲン合成酵素により、グリコーゲンに合成され、貯蔵されます]

 

7. 乳酸(Lactic acid:milk acid)の生成

筋肉を使用して疲労が高まるとピルビン酸が過剰となり、乳酸値が高くなります。
乳酸の蓄積は筋肉痛を招き、エネルギー創出を妨げると考えられています。
乳酸(Lactic acid)(2-hydroxypropanoic acid)はミルク酸(milk acid)とも呼ばれますが、
その働きについては善悪の議論があります。
最近のスポーツ医学では筋肉疲労は、過剰乳酸ばかりでなく、
筋肉の微細な損傷によるものだとする説も有力なようです。
アンモニア産生も、運動によって増加しますが、アンモニアもまた乳酸値を高めるファクターといわれます。
アンモニアを代謝するシトルリンが乳酸値低減に寄与し、筋肉疲労を回復させる根拠の一つです。



8. ピルビン酸(Pyruvic acid)

一般的にピルベート(pyruvate)と呼ばれるピルビン酸(Pyruvic acid )(CH3COCO2H)は
ブドウ糖(グルコース)より作られます。
ピルビン酸(Pyruvic acid)はクエン酸回路の代謝中間体で、リンゴ酸などと共に重要物質です。
エネルギーの源となるのは主としてクエン酸回路で作られるアデノシン3燐酸(ATP)ですが、
運動によりクエン酸回路ではまかないきれないほどのATPが必要になった場合は他の回路(解糖系)で作られます。
需要過多など、なんらかの理由で酵素不足が発生した場合などは、クエン酸回路でATPに変換できなくなった
ピルビン酸(Pyruvic acid)が余剰になり、乳酸が作られるといわれます。
また、ピルビン酸に酸素が不足していると乳酸エタノールがつくられて、筋肉疲労の元となります。
ビタミンB1が充分な場合はクエン酸回路でピルビン酸が処理されやすくなり乳酸が出来難くなるといわれます。

 

9. リンゴ酸(Malic acid)

リンゴ酸(HO2CCH2CHOHCO2H.)はリンゴから検出されたためにこのような名称になりましたが、
ヒドロキシコハク酸のことです。
リンゴ酸はクエン酸回路でブドウ糖(グルコース)から代謝される重要物質で、果物などの酸味成分の一つです。
リンゴ酸はクエン酸回路において酵素によりオキサロ酢酸に代謝されます。

10. クエン酸(Citric acid)
クエン酸はCitric acid(かんきつ類の酸)という英名の由来どおり1784年にレモン汁から発見されました。
エネルギーの源となるカルボキシル基(COOH)は有機酸(炭含む酸)。糖質、脂質、タンパク質が
代謝分解されたときの重要中間体として生体内代謝のキー分子となります。
酢酸(acetic acid)(C2H4O2)は、このカルボキシル基を一基持つ単純な化合物(カルボン酸)、
クエン酸はカルボキシル基を三基持ちます。
生体内代謝はこのカルボン酸をユニットとして回転し、有機化合物の脂肪酸なども作っています。
カルボン酸は生体内代謝と生成の両方に機能している重要物質と言えます。
酢酸は体内でクエン酸 (Citric acid)( C6H8O7)に変わり、クエン酸は、また分解して酢酸になるという関係があります。
例えば純米酢は93%が水分ですが、主成分である4%くらいの酢酸とその他の有機酸2%のほとんどが、
体内でクエン酸に変化します。

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最終更新日 2021年4月29日

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