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細胞老化と癌(その16): サーチュイン活性化物質スタック(STAC s)の発見

2018年6月3日

テロメア―とスタックとは エイジング(老化)と癌予防、治療は細胞染色体のテロメアと、酵素テロメラーゼのメカニズムを 追求せずには不可能といわれる時代になりましたが、近年になり研究はさらに進化しています。 テロメラーゼのメカニズムを(一部)解明し、テロメアの短縮(加齢などによる寿命の短縮)を 阻止することにより長寿の達成に道を開いたのはハーバード大学、MIT大学の研究者ら. テロメラーゼをコントロールする物質を発見し、サーチュインと名付けましたが、 テロメラーゼを活性化する物質として選ばれ、実験に使用されたのはレスベラトロールでした。 数多の物質から最大の効果が得られるとして選ばれたレスベラトロールだけですが、 スタック(STACs)と呼ばれるようになったサーチュイン活性化物質は、ブドウ・レスベラトロールを 基に実験用の合成化合物が作られました。   1. サーチュイン活性化物質スタック(STAC s)の発見 2. テロメラーゼを活性化させる酵素のサーチュイン 3. ピセアタンノール(Piceatannol):(STAC s) *オウシュウトウヒ(欧州唐檜:Picea abies) *トゲハリクジャクヤシ(Aiphanes horrida) *グネモン(Gnetum gnemon) *ピセイド (Piceid) *アストリンギン(Astringin) *ミコリザ(mycorrhizal) 4. ブテイン(Butein):(STAC s) *Coreopsis:ハルシャギク 5. フィセチン(fisechin):(STAC s) 6. イソリキリチゲニン(Isoliquiritigenin):(STAC s) 7. ケルセチン(quercetin):(STAC s) (本稿では省略) 1. サーチュイン活性化物質スタック(STACs)の発見 テロメラーゼの活性化に寄与するサーチュイン活性化物質 (sirtuin activating compound:STACs)はバイオモル社のホーウィッツ博士と ハーバード大学教授の生化学者シンクレア―博士により発見されました。 2003年に両氏はブドウ・レスベラトロールに特徴的なポリフェノール(スチルベン)が ヒトのサーチュイン1酵素を活性化し、出芽酵母菌の寿命を延ばすことを報告した 論文をサイエンス誌に発表しました。 この様な作用をする産物(STACs)として当初に挙げたのはレスベラトロールの他、 ピセアタンノール(Piceatannol), ブテイン(Butein), フィセチン(fisechin), イソリキリチゲニン(Isoliquiritigenin), ケルセチン(quercetin). 多くは赤ブドウにも含有する成分の変異体、派生物質でもあります。 博士らは総計では植物を中心に約4,000種の産物を実験したそうです。 このコラムでは上記のスタック(STACs)の簡単な解説をします。 2. テロメラーゼを活性化させる酵素のサーチュイン ホーウィッツ博士らは細胞内で活性化すると、テロメアの寿命を(間接的に)延ばすことが 出来る酵素を同定し、その酵素をサーチュイン(sirtuins)と名付けました。 サーチュインにはいくつかのタイプがありますが (2016年現在サーチュイン・ファミリー、7種類が報告されています)、 その一つのSir2は飢餓させると(カロリー補給が無い)活性化することが知られています (低カロリーダイエットの理論)。 「ブドウ・レスベラトロールが機能するカロリー・リストリクション(CR)効果: 少量のレスベラトロールで長寿を達成」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=157 サーチュインのSir2はほとんどの生物細胞に含まれる NAD+依存性ヒストン脱アセチル化酵素(*NAD+-dependent deacetylases)のことです。 *NAD:ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide) *サーチュイン(sirtuins):ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase:HDAC) サーチュイン活性化物質(STACs)は染色体に結合している寿命決定分子 テロメア(telomere)に 間接的に作用する物質。 サーチュイン等のヒストンを脱アセチル化(アセチル基をはずす)する酵素群は ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase:HDAC)と総称されますが、 心臓、脳などの人体に18種類は発見されているそうです。 「ノーベル医学生理学賞(2009年)を受賞したテロメラーゼの発見: テロメラーゼはレスベラトロール研究の土台」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=156 3.ピセアタンノール(Piceatannol) ピセアタンノール(Piceatannol)は、レスベの主成分であるスチルべノイド及びフェノール の化合物のことです。 化学構造はレスベラトロールの*アナログであることが知られています。 ピセアタンノールと、グルコシド(配糖体:糖が化合したもの)である*アストリンギンは、 オウシュウトウヒ(Picea abies)や、近似種の針葉樹の根のほか トゲハリクジャクヤシ*(Aiphanes horrida)、グネモン*(Gnetum cleistostachyum)の種子に 含まれることが有名ですが、安全性の高い食用実績があるのはレスベラトロールの代謝物質として 赤ワインなどに含まれているピセアタンノールです。 (wikiの解説) 「Piceatannol is a *metabolite of resveratrol found in red wine, grapes, passion fruit, white tea, and Japanese knotweed. *Astringin, a piceatannol glucoside, is also found in red wine. Piceatannol and its glucoside, *astringin, are phenolic compounds found in *mycorrhizal and non-mycorrhizal roots of Norway spruces (*Picea abies). It can also be found in the seeds of the palm *Aiphanes horrida and in* Gnetum cleistostachyum. The chemical structure of piceatannol was established by Cunningham et al. as being an analog of resveratrol(wiki)*オウシュウトウヒ(欧州唐檜:Picea abies) オウシュウトウヒは、マツ科トウヒ属の針葉樹。 ドイツトウヒ、ヨーロッパトウヒ、ドイツマツとも俗称されます。 白血病、非ホジキンリンパ腫などウィルスが原因となる疾病に著効を示したとする報告や 「脂肪細胞はピセアタンノールの存在下では、遺伝子発現の時期や遺伝子機能、インスリン活性が変化し、 脂肪生成の遅延か完全な阻害に繋がる」との報告があります。 *トゲハリクジャクヤシ(Aiphanes horrida) 南米、中米に自生するヤシ科の植物。10㍍にはなる高木。 ヤシ科としては珍しい、八つ手のような幅広の葉を持つ。 ボリビア、ブラジル、コロンビア、ペルー、ヴェネゼラ、トリニダット・トバゴなどの 海抜1,700㍍くらいの乾燥した森林に多い 「アサイーの近縁クジャクヤシ(孔雀椰子)は強精強壮の生薬」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=311 *アナログ(analog) アナログは、連続した量(例えば 時間)を他の連続した量(例えば角度)で表示すること。 *グネモン(Gnetum gnemon) グネモン(Gnetum gnemon)はグネツム科グネツム属の常緑低高木。 主として東南アジアの熱帯雨林などに分布する。 マレーシアでは見ることが無いといわれ、また中国雲南省に多いとも言われますが いずれも未確認。 分類学的に論議の多い樹木で不明点が多い。 *ピセイド (Piceid) ピセイド (Piceid)はスチルベノイドのいくつかの配糖体(グルコシド)の一つ。 *アストリンギン(Astringin) ピセアタンノール(Piceatannol)は赤ワインのレスベラトロールの中間代謝物ですが、 パッションフルーツ、白茶(white tea)、イタドリ(Japanese knotweed)にも見ることが出来ます。 ピセアタンノールの配糖体の一つ(the 3-β-D-glucoside of piceatannol) であるアストリンギン(Astringin)は赤ブドウに特徴的なスチルべノイドです。 *ミコリザ(mycorrhizal) 高等植物の根に 一般的に見られる、菌類との共生状態:ミコリザ:菌根 *metaboliteとは metaboliteは、代謝の過程の中間生産物及び最終生成物。 一次代謝物質は、生物の成長、進化、生殖に直接関わるものです。 4.ブテイン(Butein) ブテインは多くの植物に多少なりとも含まれる黄色の物質。 カルコノイド(chalconoids)のカルコン・ポリフェノール(chalcone)と同じ物質です。 カルコンはポリフェノールのフラバノンと互変異性体の関係 抗酸化物質、糖類の分解物質として知られています 抗バクテリアの薬、抗凝固剤 高脂血症改善作用,、肝細胞保護作用などの報告もあります。 カルコンは漆(うるし:Toxicodendron vernicifluum)に特徴的なポリフェノール。 その他、花のダリア、ハルシャギク(蛇の目ギク:Coreopsis)に比較的多く含まれます。 女性の関心が高い美容のための抗酸化作用、乳がんを防ぐアロマターゼ(aromatase)阻害作用が 顕著といわれ、最近では終末糖化物質(AGE:advanced glycation endproducts)阻害物質としても 注目されています。 *Coreopsisハルシャギク(波斯菊: Coreopsis tinctoria) Coreopsis:ハルシャギクは繁殖力が強く路傍で雑草のように見ることができます。 5.フィセチン(fisechin) 癌(がん)予防物質として注目されているフィセチン・ポリフェノール 1891年にはすでに発見されていた黄色色素のフラボノイド系ポリフェノール。 赤ブドウ、かんきつ類(皮)、タマネギ、イチゴ、リンゴ、柿、キュウリ、 イチゴ、アカシアなの種子などに含有されるポリフェノールのフラボノイドです。 赤ブドウや柑橘類の皮を除けば、フィセチン含有が少量の果実や野菜が多いために 食材から必要量を確保する難しさはあります これまではポリフェノールのフラボノイドの一群として挙げられている程度でしたが、 最近の癌と長寿に密接に関与するテロメア研究の加熱とともに急速に注目を集めている 色素です。 抗がん物質として癌の転移に関与する(anti-proliferative agent)トポイソメラーゼを阻害する トポイソメラーゼ阻害剤作用(Topoisomerase inhibitor)も報告されており 大きな期待が寄せられています。 「ポリフェノールとは:細胞を活性化する若返りの抗酸化物質」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=162 「癌(がん)の転移と拡散は抗酸化物質が防ぐだろう 癌の増殖、転移を防ぐには:ミトコンドリアmtDNAの抗酸化」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=590 フィセチンはこれまでに解説してきた腫瘍壊死因子(TNF-α:Tumor necrosis factor)、 インターロイキン(IL-1βIL-6など:interleukins)、 NF-kB(Nuclear Factor kappa B:カッパB核因子)など 発癌の原因ともなる炎症サイトカイン前駆体を制御するだろうとの 研究が進んでいるのが特徴的です。 「癌の骨転移メカニズムの鍵はランクル(RANKL) レスベが活性化を制御する」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=588 「カッパB核因子と線維芽細胞成長因子」 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=566 6. イソリキリチゲニン(Isoliquiritigenin) イソリキリチゲニン(Isoliquiritigenin):天然に存在する有機化合物の1種である。 具体的には、生薬の1種である甘草の成分の1つとして含有されていることが知られています。 マスメディアで話題の長寿と癌(がん)の最先端研究 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=605 ナイアシン(NAD+ NMN)がサーチュインとコラボレーション:長寿と癌(がん)研究 http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=156 ノーベル医学生理学賞を受賞したテロメラーゼの発見:テロメアとテロメラーゼ http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=522 老化促進AGEと異性化糖:Advanced Glycation End Products http://www.botanical.jp/library_view.php?library_num=206 天然オメガ3脂肪酸の抗炎症メカニズム:脂質メディエーターのレソルビン(Resolvin)とは

最終更新日 2020年6月2日

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