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長寿社会の勝ち組となるには(その8): 赤紫色素は美容と長寿の最強抗酸化ポリフェノール(4) 大腸がんに著効を示す タマネギのケルセチン、アリシンとアントシアニンのコラボレーション

2016年4月8日

 

ニンニク、玉ねぎは認知症、心臓血管病、癌(がん)など現代で最も厄介な疾病に
著効を示すスーパーフード。
ラテン民族は紫色のアントシアニンが優れた抗酸化物質ということを
知っていますからニンニク、玉ねぎも赤紫色の品種を選ぶ人が少なくありません。
日本でも紫色の野菜に関心を強めれば生活習慣病の予防と治療に役立つでしょう。

アジア周辺でニンニク生産量が多いのがタイランドと韓国(インド、中国を除く)

 

1.ニンニクに期待される有用成分はアリシン単独では無い

ネギ科(Alliaceae)のニンニク(Allium sativum)やタマネギ(Allium cepa)が
害虫や微生物に優れた防御システムを持っていることは体験的、疫学的に多くが
認めていることですが、その仕組みの詳細には未明点が多々あります。

ニンニク類からアリシン(Allicin)が米国で分離されたのは1944年。
その後はニンニクやタマネギが感染症の原因となる微生物や寄生虫などを防ぐのはアリシン。
脳梗塞、心筋梗塞を防ぐ溶血性をニンニク類が持つのもアリシンの
存在であると信じられてきました。

ところが数十年後には自然な状態のニンニク、タマネギの複雑な成分や化合物が相乗して
素晴らしい働きをするのであって、アリシン単独ではないのでは、
調理や加工によって細胞が破壊され、酵素(allinase)がアリイン(alliin)などを
有機硫黄化合物のアリシン(Allicin)に変化させたときに
最大効果を(瞬間的に)発揮するのではないかとの疑問がもたれます。
アリシンはニンニク、タマネギの持つステロイドサポニン(Steroidal saponins)など
多様な他の成分と複合的に機能する(だろう)というのが最近の研究成果です。
漬物加工、熱加工、エキス抽出、乾燥パウダーなど、加工時間がかかる食品では
アリシンが前駆体から生成されないか、生成されても効能が大きく損失するか、
生成後瞬時に消滅しているか、といわれるようになりました。
*S-アリル-L-システイン(S-Allylcysteine)はアリシンの前駆体
アリシン

 

2.なぜアリシンは単独では機能しないのか

アリシンが胃酸分解されるのを防ぐ溶腸性のコーティングを使用しての経口摂取、
または注射による実験では「いずれもアリシンの血中濃度がほとんど上がらず、
体内で瞬時に近いスピードで消滅しているだろう」ことが米国で報告されています。
(アリシンが有効成分なのだろうか?との疑いを持つ学者も)

アリシンの分離以来、アリナミンのようなビタミンB¹の機能を強化をする応用医薬品は
製造されていますが、直接的に感染症や大腸がんを防ぐ医薬品は開発できていません。
アリシンが非常に不安定で変化、消滅しやすい物質であることが原因とされています。
現在では、ニンニク類の優れた防御システムはアリシンはじめ
ステロイドサポニン(Steroidal saponins)ビタミンB?など数多く含まれる成分の
総合力であり、単独では無いだろうことが共通の認識となりつつあります。

アジアの消費者市場では日本とはかけ離れた量のニンニクがキロ単位で売られます.

 

3.紫色の玉ねぎと紫色のニンニク

野菜類に含有する黄色、赤色のカロチン(カロテン)類の存在は良く知られていますが
フランス人、スペイン人、イタリア人は野菜や果物の赤紫色にこだわり
ニンニクやタマネギもアントシアニンの赤紫色が入る品種を選ぶ人が
少なくありません。

フランスは農業大国ですが、広い農地にかかわらず農産品を東欧、
スペインや、モロッコなど旧宗主国からの輸入でまかなう部分が多いことで知られています。
フランス料理の柱となるニンニクやタマネギも世界的なランクでいえば
フランスが生産量上位に顔をだすことはありません。
野菜が健康食品なのを熟知していますから、有機や非遺伝子組み換えにこだわり、
低廉良質を求め、輸入を含めて選択肢を広げています。
好みの野菜は輸入で賄う(まかなう)ことを躊躇(ちゅうちょ)しませんから
日本のように工業化による大量生産に関心が低いのが特徴的です。

 



写真上はアメリカ産紫小玉ねぎ

写真上は北米産、写真下はフランス産のエシャロット(Echalote)


日本には山形県庄内産(平田ネギ)や茨城産の
赤ネギが在ります.やや硬いのが難点.

 

4.日本人のニンニクとタマネギの消費量

日本人のニンニク摂食量が韓国人の10分の1なのはよく知られていますが、
欧米人やタイ人、フィリッピン人に較べても3から5分の1くらい。
日本の生産量は落ちることはあってもほとんど伸びずに20,000トン/年前後。
出荷量が13,000トン強くらいですから輸入の約18,000トンを加えても
消費量は30,000トンくらいとごくわずか。
玉ねぎ消費は比較的多いですが、それでも国産は100万トン強。
韓国より生産量が少なく、輸入の30万トン前後を加えても多いとは言えません。
(世界の総生産量は統計が不正確な中国、インドが半分近くを占めて
推定8,300万トン:2012年)


写真上はタイの市場で売られている南方系の軟首(softneck)タイプの赤紫ニンニク.
タイ産か中国産かは不明.
赤紫品種の軟首(softneck)タイプ栽培は温帯、亜熱帯地方が適しています.
 
写真上は硬首(hardneck)タイプのフランス産のロートレック・ロゼ・ニンニク.
写真上右は硬首(hardneck)タイプの青森県産6片ニンニク.
赤色も紫色も硬首(hardneck)と通称されるのは寒冷地品種がほとんど.
鱗片(clove)が大きいのが特徴です.

写真上は中国から輸入される鱗片(clove)が大きいタイプ.
世界のニンニク生産総量は漸増していますが、増えているのは中国とインドだけといわれます.
専門家は中国の公表数字は実際の倍くらいではないかと推量しますが、
辛味トウガラシ同様に各国価格の3分の1から10分の1で世界を席巻しています.

日本でもスペイン産の紫ニンニク(Ajo Morado)が売られるようになりました。
スペインで有名なのは中央部のニンニク産地ペドロニェラス(Las Pedroñeras)で産する品種.
(Ajo Morado de las Pedroñeras)
寒冷地に多いGerman Redに近似の硬首(hardneck)タイプで鱗片(clove)の中身は白色.
青森産より3割から5割は安価.鱗片が6片タイプに近い中型で120円/個.
スペイン産の大型白色6片タイプは100円/個くらいで売られています.

プチニンニクと俗称されて売られる小型のニンニク.
鱗片は小分けにされず単一.調理が楽ということで人気.
中国産ですが南方系の軟首( softneck)タイプ.

 

5.発酵黒ニンニクの効用


発酵黒ニンニクは食べやすくなりますが
「生ニンニクと同じ効能があるのか.どのような効能の違いがあるのか」は不明.
水溶性S-アリル-L-システイン量などのデータを出している製造元もありますが、
アリシンへの変換を助けるアリイナーゼ活性を維持しているのかどうか。
アリシンに変化しないS-アリル-L-システインに期待される効能があるのか
実態は確認できていません。
発酵黒ニンニクは日本でも脚光を浴びていますが、米国のスーパーでも
大型が2個で7ドルくらいで売られています。
健康効果は特に明記されませんが、食べやすいことが最大メリットのようです。
普通の乾燥ニンニクが1個70セントくらいですから、5倍の高価格。
日本でも1個が500円くらいします。
電気釜の保温温度で時間をかけて自作する人が増えているようですが、
刺激臭が無く、干しプラムのようで甘く食べやすいということは
少なくとも揮発性の脂溶硫化物質の効能がなくなっていると推定できます。
 
青森県産6片ニンニクを使用した発酵黒ニンニク.
  

ニンニクを写真のチェンバーに入れて一定の温度を負荷し加熱熟成させる.

食材研究家:しらす・さぶろう

最終更新日 2021年8月2日

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