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絶えることのない中国産魚類の発ガン物質汚染: 中国産ウナギが信用できないわけ

2014年8月1日

1. 日米で中国産うなぎ汚染問題が再燃

湘南で推奨できる鰻かば焼きの店はごく小規模なファミリー経営だけ.
割きたての活きと焼きが勝負ですから規模が大きくては調理できません。
鰻かば焼きの名店は「大磯国よし」、「鎌倉つるや」、「鵠沼うな平」

2007年の土用一の丑は7月30日でした。(2004年は7月29日)
うなぎ屋さんのかきいれどきですが、日米で中国産うなぎから発がん性がある
違法抗菌剤が検出され、騒ぎとなった日でもあります。
中国産の蒲焼、白焼きは現在でも日本の加工用うなぎ市場の大部分を占め、
スーパー、魚屋等で販売されるばかりでなく、一般のウナギ屋さん、
外食チェーン、お惣菜屋さんのうなぎ弁当、ゴルフ場などのうなぎメニューには
無くてはならない素材。
やむなく土用を前に輸入されたうなぎには差し止め品が多発しましたが、
米国行政府の摘発まで日本の監督官庁は消費者を無視した企業サイドのスタンス。
安全確保に頬かむりをしていたことが改めて浮き彫りになりました。
2000年ごろより繰り返し話題となってきた中国産食品、食材の薬品汚染ですが、
2007年の養殖魚の汚染問題は中国系移民が急増するカナダ、米国が火をつけたことと、
肝臓癌などの発癌物質で知られるマラカイトグリーン(malachite green)で汚染されていたことから、
国際的にも大きな関心が持たれた事件。
その後も汚染問題と産地偽装は絶えることなく続いています。

 

 

 

2.米国厚生省(HHS)の禁輸が火付け役

2007年の日本のうなぎ騒動は米国厚生省傘下の食品医薬品安全局(FDA)が
6月28日に出した中国産魚類の禁輸に関するプレスリリースに始まりました。
毒性物質入りの歯磨きペースト、ペットフードなどの露見で、
中国製品の悪いイメージが拡大している時期で、タイミングとしては最悪でした。
FDA では2001年ごろより、中国からの養殖海産物に違法な薬品が
使用されていることに度々警告を出していました。
2006年には、先行したカナダ政府が輸入中国産養殖うなぎの薬品汚染に
全国レベルの警告を発しました。
米国厚生省も2006年9月に中国に安全性の検査チームを派遣しましたが、
汚染疑惑は深まるばかりでした。
今回のFDA発表は2006年10月から2006年の4月にかけて輸入された
中国産海産物を幅広く検査した結果。
安全性が確認できなければ禁輸になる魚類は、ウナギ、海老類、アジアに多い
ナマズ類のキャットフィッシュ(catfish), 同じくナマズ類のバサ(basa),
ウグイ近似種のデース(dace)などです。
ナマズ類はファーストフードやレストランの白身魚として
カナダ、アメリカでは人気の魚。
日本でも外食産業、スーパーの冷凍白身魚などで多量に売られています。

 



3. 騒動を大きくした日本鰻(うなぎ)輸入組合理事長の安全宣言

中国産うなぎは2003年の汚染騒動などの影響で、2007年度ごろは需要が低下。
2007年の米国禁輸事件に危機感を抱いた日本の業界では
日本鰻(うなぎ)輸入組合の理事長が記者会見で日本の輸入業者の
チェックシステムを解説し、安全性を強調しました。
ところが騒動は鎮静化するどころか、かえって大きくなる結果となってしまいました。
7月14日に検疫当局より発表された汚染食品リストに理事長が代表を務める
食品株式会社の輸入うなぎが入っていたからです。
輸入うなぎ業界の大手として知られる食品株式会社は、
輸入蒲焼の専門レストランを経営もしていました。
この食品会社を擁護するわけではありませんが、今回の摘発には同情すべき点も。
筆者が台湾、中国との40年を超える商取引から得た経験では、多くの例外はあれ、
中国人と他のアジア人とは文化や倫理観が大きく異なることを痛感しています。
騙す(だます)ということへの罪悪感の温度差でしょう。
在日や日本の大手事業会社が中国の会社による詐欺や、不良品、
禁輸品売買に関わるのは、仕向け会社に巧妙に騙されるためで、
意図せざることも少なくありません。
中国では経営者や工場長が知らぬところで不正や偽装が行なわれる事も多々あり、
それを防ぐのは至難。
一旦は不合格品として選別された材料が監督者不在のところで
合格品に混入されるのです。
これは生産量ノルマのシステムが原因となることが多いようです。

 

 

 

4. ロビー活動も疑われる米国の海産物禁輸の背景

火付け役の米国の狙いは需要の少ないウナギではなくバサなどナマズ類の禁輸。
その背後にはミシシッピ河流域や、水の多いアラバマ州で
アメリカナマズ(Channel catfish)を養殖している業者の政治的な動き。
ミシシッピ州、アラバマ州などの業者によるナマズ禁輸の働きかけに端を発して、
海老類、うなぎなどへ波及したことも考えられます
アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)の養殖生産量は
6億6千万ポンド(2003年)で全米の養殖海産物の30%以上を占める重要な産業。
ベトナム、中国から輸入されるバサや近似種のチャー(tra)は
アメリカナマズより美味なうえに、安い白身魚(ポンド当たり約3.50ドル)といわれ、
レストランやファーストフードのフィッシュバーガーなどで人気があります。
ナマズ類の輸入量は1991年には200万ポンドであったものが2年後には
1700万ポンドに急増し、2002年には危機感を抱いたアラバマ州などの業者が
セーフガードの発令や輸入量の制限などを主張していました。
日本の鰻輸入組合もこの辺りの背景を説明すべきだったかもしれません。

 

 

 

5. 2003年の中国産汚染うなぎ騒動

2003年の騒動は中国産加工うなぎから
合成抗菌剤エンロフロキサシンが、安全基準量といわれる0.01-0.1ppm
(残留部位によって異なる)の数十倍を上回る1.5ppm―1.9ppmが
検出されたことです。
抗生物質や抗菌剤は牛、豚、鶏など食肉動物や養殖魚に多用されますが、
耐性菌の増加、摂食者への副作用、病原性微生物の変異などの可能性があり
危険視されています。
安価なエンロフロキサシンは豚、うさぎなど哺乳類動物の抗菌に使用されますが、
投与によって皮膚疾患、嘔吐などの副作用が報告されています。
加工鰻輸入量の大半を占める中国産うなぎからは過去にも
メチル水銀や合成抗菌剤のオキソリン酸(oxophosphoricacid)、
スルファジミジン(Sulfadimidine)などが許容量以上検出され、
消費者から輸入鰻が敬遠される原因となっていました。
対策に苦慮した日本輸入鰻組合では2002年に特別委員会を作り、
中国の生産者(主として広東省、福建省)と協議、養殖現場運営の
指導、監視など、安全確保に努力してきましたが、2003年の騒動では
特別委員会副委員長の会社からもエンロフロキサシンや陽性大腸菌が
検出される騒ぎとなりました。
当時は鰻へのエンロフロキサシン残留が予測できず、
組合の検査マーカーになっていなかったことや、
多忙な検疫所等からの情報不足も不幸な要因だったかもしれません。

 

 

 

6. モラルが低い日本の食品料飲業界

中国産食品を敬遠する動きが急速に高まりつつありますが、
中国を非難する日本の食品業界からも数多くの偽装、詐欺、違法表示の
逮捕者がでています。
中国人に勝るとも劣らぬ日本の悪徳商人が後を絶ちませんから
倫理観の低さはアジアの双璧といえるかもしれません。
鳥インフルエンザ罹病鶏の流通未遂。
雪印やミートホープの確信的詐欺事件。
伯方などによる中国塩の国産表示。
国産に偽装された輸入干物、国産表示された輸入南高梅。
大手流通業者による魚沼産コシヒカリの偽造品。
同業組合幹部が関与する近江牛の偽物。
松坂牛、鹿児島産黒豚の偽物。
直近では大手ホテル多数が関与した偽ヒレ肉、偽クルマエビのメニュー。
高級(高額?)料理屋「吉兆」による偽装食材、使い回し。
沖縄産シークワーサーと表示する輸入物。
大手デパートで販売された有機食品販売チェーンの虚偽有機食品。
たら、ムツなど和名(または日本産の通称名)をつけた外国産異種魚類。
本物がほとんど無いといわれる大量の中国産偽物ロイヤルゼリー。
などなど詐欺ともいえる悪質事件だけでも枚挙に限りがありません。
大手の食品会社やデパート、スーパー、問屋、ホテルなど流通関連業者が
関与しての話ですから消費者は困惑するばかり。
国産うなぎと称する偽装輸入品のかば焼きが大量に出回っているとのうわさも
信じたくなる現状です。
著名養殖ウナギ産地の愛知一色からでさえ偽装表示が発覚しています。
国産ウナギのみを販売と称する業者も意図的にその国内産地を明らかにしませんから、
かえって疑問が生じます。
真の国産は生産地までのトレースができてのみ信用できるようになります。
日本ではフグ、うなぎ、ハマチなど養殖魚が使用するフォルマリンなどの
薬品は法令の範囲内の用量といわれますが、食品業界の倫理観から推察すれば、
過剰使用の疑いを持つ人が多くても不思議はありません。
結局は生産者の倫理観に期待するしかないのですが、
日本でもそれを期待することが困難です。

 

 

 

7. 厚生労働省の対策と消費者の自己防衛策

厚生労働省が食品への抗生物質、抗菌剤、ホルモン剤などの使用規制作業を
本格的に始めたのは比較的新しく、1996年前後。
薬品が使用された農畜水産食品への安全性基準値研究
(残留基準値MRL、無影響量NOEL、許容一日摂取量ADIなどの設定)には
膨大な予算と時間(2世代にまたがる調査でも充分でないといわれる)が必要。
厚生労働省では、先進国のデータ等も参考にして、これまでに45種類の
抗生物質、抗菌剤、20数種類のホルモン剤、神経薬他のガイドラインを発表しています。
うなぎに限らず汚染生鮮品の水際での防御策は非常に優れていますが、
なにぶんにも生鮮品は輸入依存率が高い分野ですから、
膨大な輸入量に手が回らないことも事実です。

(消費者の自己防衛策)
厚生労働省は立場上、死者続出など有害が確定的でなければ対応できません。
生産者、輸入者に配慮すれば予防的な禁止が困難ですから、
消費者が自己判断で行動するしかありません。

*汚染うなぎは蒲焼など加工品がほとんど。
活き鰻の検疫は厳重ですから、高価ですが加工品よりは安全性が高いといえます。
加工品の主要顧客は外食産業。
国産の表示が無いウナギのメニューは輸入品と理解できます。
*鰻の肝は美味ですが、合成抗菌剤ばかりでなく、ホルモン攪乱物質のダイオキシンや
その他有害化学物質の蓄積も予想されるため、摂食は避けたほうが無難。
*化学物質は体内残留濃度が問題となります。
体重によって許容量の数値(許容一日摂取量ADI)が異なります。
子供や小柄な人は摂食量の調節が必要です。
*胎児への影響の細かいデータは少ないので妊婦は摂食を避けるほうが無難です。

近所で釣って、捌いて、蒸して、焼いて.安全で超贅沢なのが自家製を楽しめる趣味の人.
湘南鵠沼海岸引地川河口ではホームレスの人々が「天然ウナギ釣り」の常連.

 

 

8. うなぎの総需要量

農林水産省や業界新聞社の統計より推察すれば、日本の鰻(うなぎ)の総需要は
ピークの2000年で15万8千トンありましたが、その後は減り続け、
2005年、2006年は10万トン前後に落ちています。
鰻の汚染問題で圧倒的なシェアを持っていた中国産加工うなぎの輸入が
2001年のピークの10万8千トンから半減、スーパーなどでの店頭販売量が
落ちていることや、国産鰻の価格高騰も消費者の購買意欲を削いでいます。
近年の国産養殖鰻の生産量は2万トン前後ですが、ピークの1984年から
1991年ごろは毎年4万トン前後ありました。
天然うなぎは1900トン(1982年)、1090トン(1992年)から急減して
300トン(2006年)と貴重品になりました。
*国産養殖ウナギの2011年、2012年生産量は約15,000トンといわれます。

 

 

9. 魚類養殖に使用される薬品

① マラカイトグリーン(malachite green)
シュウ酸塩。塩酸塩。名前の由来は孔雀石(マラカイト)の青緑色。
織物、皮などの染色に使用される塩基性有機色素。人体では呼吸器系統を犯し、
代謝機能を損なう。肝臓癌の発癌物質としても知られる合成抗菌物質。
観賞魚などの寄生虫予防の特効薬。日本でも価格が安いために多くの
魚養殖業者が受精卵、幼魚、成魚の寄生虫、真菌予防に使用していた。
中国ばかりでなく、台湾産うなぎからも検出されている。
発がん性物質としての報告が多くなり、米国では1981年に使用禁止されている。
日本の研究は米国より20年くらいは遅れ、最近まで使用している養殖業者が
多かったという。
現在は使用禁止。日本でも2007年入荷の輸入うなぎより検出されている。

② ニトロフラン(Nitrofuran)
家禽、家畜用の抗菌剤。乳製品の汚染が発見されることが多かったといわれます。
米国では1991年から発ガン物質としてシステム的な使用が禁止されていましたが、
2002年5月からはスプレーなどで部分的に使用することも禁止となりました。
検査法の進歩により、肉質には残留しないといわれた抗菌剤が
確認されたためです。
フラゾリドン(furazolidone),ニトロフラゾン(nitrofurazone),
ニトロフラントイン(nitrofurantoin)などの派生品がありますが、
いずれも禁止リストに記載されています。

③ ゲンチアナ・バイオレット(gentian violet)(crystal violet)
名前はスミレ(violet)、リンドウ(gentian)に由来する。
りんどうは抗菌作用を持つハーブ治療薬で知られ、化学合成物質には多くの
呼称がある。
バクテリア反応テストの試薬や、火傷治療時の細菌感染防止にも用いる。

④ エンロフロキサシン(enrofloxacin:ERFX)
ニューキノロン(フルオロキノン)系合成抗菌剤。
キノン系(Quinoids)物質の一つとして定義され、動物用では
バイトリル(BAYTRIL)という商品名でバイエルから発売されています。
キノン系物質は食用色素も著名ですが、
日本では食品添加物としての使用が禁止されています。
ニューキノロン系は比較的新しい多用途抗生物質として医療現場で幅広く
使用されており、耐性菌の出現が問題となっています。
米国では耐性菌の出現のために年間8万人以上が死亡しているといわれています。

キャットフィッシュ(catfish)、バサ(basa)、デース(Dace)は
下記記事を参照してください。

初版:2007年7月
(生鮮食材研究家:しらす・さぶろう)

 

最終更新日 2021年5月3日

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