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細胞老化と癌(その5): 生命誕生と若返り、ポイントは卵胞の再生と活性化

2017年9月22日

近年の分子細胞遺伝子工学の発展は目覚ましいものがあります。
生殖幹細胞系列(germline stem cells)の活動を通して成人女性の誰もが
日常的に卵母細胞を生成していることが明らかになり
ヒトの卵巣の卵細胞生産キャパシティーは生まれた時から定められ、加齢とともに
消滅するという常識がオールマイティーではなかったことが徐々に解明されつつあります。

(注)
この分野の研究はフランス、アメリカなど欧米が先進国。
医学分野で使用される翻訳日本語は、わかりにくい翻訳が多いため
この記事では原語を併記しています。
訳語では理解できない方は言語検索をしてください。

 

 

 

 

 

1. 化粧品、整形手術による若返りは短命

2016年の米国民はアンチエージングのために約3,500億ドル強(約4兆円弱)を
使ったという数字があります。
主として肌の衰えに対してですが、米国民のどれだけが皮膚細胞に関して知識があるのでしょうか?
加齢とともに増えていく皺などの、見た目の老化対策に如何に多額のお金と時間を無駄に使っているか。
何人の人が隠された内部で起きている老化原因を徹底的に調べている(scrutinize)でしょうか。
米国の消費者向け美容と栄養の専門雑誌によれば、ほとんどいないだろうとのことです。
専門家はそのような消費者の未来に強い懸念を示しています。

若さを保つのに、高級化粧品(高額化粧品)を使用してビタミン、ヒアルロン酸などの
糖蛋白質を肌、髪に分厚く塗布し、果てには整形手術を施す。
またはプラセンタなどのホルモンや酵素となるアミノ酸やそのペプチド、タンパク質を多量に服用する。
これは腐敗が進む食品を金属やプラスティックの殻や被膜で覆うようなもので、
内部での腐敗を止めることが出来ないばかりか、反って老化を促進します。
整形手術後の加齢による結末は申し上げるまでも無いでしょう。

 

 

2. 本命は前駆卵細胞レベルでの若返り

卵巣または未熟な卵子、ミトコンドリア、前駆卵細胞は、形態学的(morphology)にも
機能にも近似性があります。
母と子の自然なミトコンドリア移転と同様に前駆卵細胞を培養、移植して
若返りのミトコンドリア供給源として使用することを提案する研究が
進んでいます。
生物学的に*卵子前駆細胞(egg precursor cells:EggPC)と呼ばれる
卵原細胞:幹細胞(Oogonial stem cells :OSCs) を卵巣より発見し採取。
試験管培養(in vitro fertilization:IVF)で増殖させ研究をつづけています。

「遺伝子工学による不妊治療と若返り:
ブドウ・レスベラトロールが卵巣老化を防止

 

3. 子宮に蓄積する分泌蛋白質が生殖能力を失わせる 

2015年の暮れに不妊と子宮がん、子宮頸がんに関して注目すべき論文が
ある専門雑誌に掲載されました。
この研究と発見はその後の分子細胞遺伝子学の発展により不妊や子宮がん、
子宮頸がんの防止に明るさを与えるばかりでなく、
健康な長寿と肌や髪の若返りが大いに期待されるようになりました。
「Reproductive Aging Drives Protein Accumulation in
the Uterus and Limits Lifespan」

生殖可能年齢 (reproductive aging)が終焉を迎えても元気で生活できる人類には
肉体的年齢(somatic aging) という言葉があり、これは人により様々です。
生殖可能年齢と肉体的年齢が線引きされるメカニズムは永らく不明でしたが、
スタンフォード大学のグループ*が加齢に応じて子宮(uterus)に蓄積して行く
分泌蛋白質が生殖能力を失わせる原因となることを見出しました。
*Department of Genetics、Department of Chemical and Systems Biology、
Stanford University
この発見は分泌ホルモンとその抑制ホルモン(酵素)を通じて男性の性的能力の
強弱についても様々な示唆がありました。

実験には線虫の一種(Caenorhabditis elegans)が使用されましたが、
子宮内に分泌された蛋白質類を年ごとに計測してみると、若いときは
速やかに除去する能力があることがわかりましたが、加齢とともに
分泌蛋白質が生殖細胞系統(germline)遺伝子を
なまくら(blunted: DNAを平滑末端化する)にして不妊、無精子(sterile)を
引き起こし、果ては(線虫が)死に至る原因となっていました。

分泌蛋白(ホルモン)は子宮の細胞外マトリックス(extracellular protein)に
蓄積していき、生殖能力を無力化していきますが(infertility)、この蛋白を人工的に
処理することで寿命が延びることが(動物実験で)確認されています。
研究者らは子宮の細胞外マトリックスに移行した卵細胞(oocyte)が再生、修復されるのだろうと
推定。卵巣の卵胞は有限ではなかったのです。
ノーベル賞受賞者の大隅博士がこの仕組みを明らかにしました。

「老化と生活習慣病は細胞内異変の自動修復作用不全

 

反面、生殖能力の終焉(infertility) は体組織に有害な変異を防ぐ役割も
ありますから(detrimental changes in the soma)、不自然に生殖能力(fertility)を延ばし
若返りを図ることは危険といわれています。
加齢のどのようなタイミングで生殖能力(fertility)が低下し、停止(cessation)に
至るか。終焉(infertility)がどのように延長(延命)されるのか。
分泌蛋白質蓄積のヒト研究によって、そのメカニズムの経路が解明され、安全な制御法の
発見(elucidated)が近づいたときに、新しい時代が到来することになるでしょう。

「癌と長寿のメカニズム解明はオステロポンチンが鍵」

 

 

4. 卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone:FSHとは

生命の誕生、妊娠に必要な主席細胞*(dominant follicle)を一つ選択するために、
幾つの*卵胞が必要となるかを誰が決定する(どのような仕組み)のでしょうか?
この独裁的な決定者は卵胞刺激ホルモン(FSH)です。
FSHは性腺刺激ホルモン産生細胞で合成、分泌されます。
卵胞刺激ホルモン(FSH)は卵巣の予備機能*(Ovarian reserve)を制御しています。
FSHの分泌レベルが高くなると、必要以上に、より多くの卵胞が刺激されて費やされ(成熟され)
(再生能力が低下している場合は)限られた予備機能を枯渇(depletion)に導きます。
反対にFSHの分泌レベルが低い場合は活性化された卵胞の減少に繋がり、
排卵(ovulation:ovulateは動詞)が難しくなります。
バランスの取れたFSH分泌レベルが万全な出産能力(fertility:繁殖力、受胎能力)を決めるのです。
バランスの取れたFSH分泌レベルを保つには細胞のミトコンドリアの抗酸化と活性化を図ることが
最も重要な選択肢です。
ミトコンドリア機能の低下が胎芽(embryo)と卵子(oocyte)の質低下を招き
不妊(Infertility)につながることに異論唱える学者はほとんどないでしょう。

「ポリフェノールとは:細胞を活性化する若返りの抗酸化物質」

 

 

5. FSH分泌レベルに関わるエストロゲン(estrogen

FSH分泌レベルにはエストロゲン(estrogen)が重要な役割を果たします。
卵胞が成熟すればするほどエストロゲンの分泌量が増えます。
これによって自律神経系の中枢となる間脳の一部
ハイポサラマス(ハイポタラマス:Hypothalamus:視床下部)がFSH分泌を
スローダウンさせる指令を発します。
*ハイポサラマスは代謝機能,体温調節機能,心臓血管機能,内分泌機能,性機能などを
コントロールしています。
エストロゲンの分泌量過剰や医薬品、サプリメントなどによる過剰摂取は黄体ホルモンの
プロゲステロン(progesterone)と関連して排卵の遅れや中止が誘発されます。

 

 

6. (参考)卵巣予備能(Ovarian reserve)とは

女性の肌に皺が増えて老化するのは卵巣機能が老化するからです。
卵巣予備能(Ovarian reserve)という言葉がありますが、
これは卵巣機能の予備力(ポテンシャル)を意味します。
卵巣の機能は女性ホルモンを産生し、卵胞(Ovarian Follicle)を
受精可能な状態の卵子(卵細胞:*ovum: ovaは複数形)に成熟させること。
妊娠力の低下は卵胞の量と質が低下することです。
卵胞数は有限ではありません。
加齢がより早く進む女性は卵胞の減少が平均的な人より早いといわれます。
*ovum=oocyte

 

 

7. (参考)原始卵胞(始原卵胞:primordial follicles)とは

誰もの子宮にも当初は100から200万個の原子卵胞があります。
思春期(puberty)に到達するまでにこの数字は30万から50万個に減少します。
生殖可能な時期(reproductive years)を通して卵子製造に向けて
毎月たくさんの卵胞(Ovarian Follicle)が活性化されますが、
この中から主席卵胞(dominant follicle)と呼ばれる一つの卵胞が
選ばれ、他は活動を閉鎖され消滅するか、(推定では)細胞外マトリックスで
再生されます。
この妊娠可能な生産活動は一般的な体機能の中でも最も早く終了する短いものですが
最近の研究では誰でもが同様に短いわけではないことが明らかになっています。

 

 

8. (参考)主席卵胞(dominant follicle)とは

主席卵胞(dominant follicle)とは排卵前に成長し、残された卵胞。
主席細胞を選ぶたびに原始細胞(primordial follicles)が1,000個は失われます。

健康な生産年齢を持ち、卵巣年齢を長くすることを望むなら、
最も必要なことは酸化ストレスにさらされるミトコンドリアの活性化を通じ
卵巣(ovary)の健康と予備能(Ovarian reserve)の若さ(活性)を保つことです
これは生殖能力(fertility:繁殖力、受胎能力)を保つことばかりでなく、
健康を保つことに通じます。

 

man looking at microscope

最終更新日 2021年5月3日

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