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長寿社会の勝ち組になるには(その40 ): 全米を震撼させた麻薬系鎮痛剤によるオピオイド危機とその背景 (後編:日本の実情)

2019年12月11日

1. 日本の若者が麻薬系鎮痛剤のブロン、パブロンを乱用

米国や日本では、これまでも、現在も、麻薬系鎮痛、咳止め剤の用途は半数以上が
医療用ではありません。
今年(2019年)8月、厚生労働省は最新の実態調査の結果として、特に10代の若者が
せき止め薬やかぜ薬の市販薬である麻薬系鎮痛咳止め剤のブロン、パブロンなどを
乱用していると発表。
最近では東京都の公園のトイレに大量の麻薬系鎮痛咳止め剤ドリンクボトルが
捨てられているのが写真付きのニュースとなりました。

日本は法改正によりネットやコンビニで容易に医薬品が買えるようになり、
アマゾンでも自社ブランドの麻薬系鎮痛剤を売るような構造。
法改正で最も恩恵を得たのは麻薬系鎮痛剤メーカー。
大手医薬品会社は社会問題化を回避、製造販売をしませんから、中小メーカーの独壇場。
米国では”オピオイド危機:The Opioid Crisis”(前編参照)以来、
製造会社、販売会社が次々に葬られており、統計が確かな国々の販売量比較では
販売規制が無い日本がトップではないかといわれています。

呼吸器、脳神経、肝腎への副作用が避けられない医薬品は非常用に限られるはずですが、
前編でお伝えしたように「製薬会社が作るxxですから安心です」
「これはサプリメントではありません、医薬品です」というコピーが
販売促進になる国民性。
医薬品を信奉し、使用に抵抗感がないからでしょう。
糖尿病や癌(がん)による腎臓疾患から腎不全、多臓器不全が急増するトレンドが
高齢化とともにますます高まります。



2. 新法により日本の若者に蔓延る麻薬系鎮痛剤

これまで大量に買うことが困難だった麻薬系鎮痛剤の
リン酸ジヒドロコデイン塩が法改正により簡単に手に入るようになってから
10代の薬物依存者が愛用していた危険ドラッグが、最も多かった
2014年の48%から2018年にゼロとなり、MDMAなどの覚せい剤より
安価で誰でもが手に入るブロンなど麻薬系鎮痛剤の市販薬が41%と急増。
過剰摂取者が14-5%にはなるだろうと推定されています。

 

日本の悩める若者は麻薬性鎮咳成分をドラッグの代替と考えており、
依存性、習慣性により一日に500から700タブレットの服用者がいる過剰摂取が
関係者間で話題となっています。
厚生労働省の発表によると、過剰摂取の対象となっているのは、せき止め薬をはじめ、
かぜ薬や鎮痛剤など、20種類以上。
国立精神・神経医療研究センター 松本俊彦薬物依存研究部長の解説によれば
「ブロンのボトル84錠を1日3から6ボトル使い切ってしまうというような
中毒者が少なくありません」
「ブロンなど市販の風邪薬には肝臓と腎臓に相当な負担のかかる成分が入っており、
肝、腎機能障害を発症すれば、高度な医療設備のある総合病院などに入院しなければ、
これを克服することができません」



3. 誰でもが大量に買える日本の大衆的麻薬系鎮痛剤

大衆的麻薬系鎮痛剤のトップブランドはエスエス製薬のブロン、
大正製薬のパブロンでしょう。
いずれも麻薬性鎮咳成分といわれるオキシコンチン類似(前編参照)の
リン酸ジヒドロコデイン塩(Dihydrocodeine Phosphate)を使用しています。

このほかの売れ口商品にはアマゾンの自社ブランド「PHARMA CHOICE」の
麻薬系咳止め薬「コンコン咳止め錠 120錠」があります。
「コンコン咳止め錠」はリン酸ジヒドロコデイン塩の享楽目的者が対象なのか、
1錠に2㎎含有していることを大書した医薬品様ボトルを使用しています。

なぜ医療目的としてではなく享楽に使用される現実を関係者が黙視するのか。
過剰摂取の副作用も肝心な肝腎への有害性をはっきり告知していません。
行政がユーザーの麻薬類似商品使用を見逃しているとしか考えられないでしょう。
現在流通しているコデイン含有薬品は、ある人の調べでは、
医療用で65種、一般用で約600種あるそうです。



4. 日本は産業振興が最優先される国

日本では国民の健康増進より、産業振興が優先されます。
太平洋戦争による国土の回復と産業界壊滅の復興が必須だったからです。

戦勝国とは事情が異なりますから健康を損なう食品添加物、合成甘味料や
合成調味料、麻薬性鎮痛剤は野放し。
規制は産業振興に逆行するからです。
疫学的な事故データだけでは加工食品や添加物、医薬品が規制されることはまずありません。
分子細胞レベルで人体への有害性機序を詳細に解明しない限り、灰色は白となります。

結果的に広範囲な健康障害をまき散らした大手企業が倒産、廃業した例はありません。
その反動として、今でも多数の死者が出ているアスベストの健康被害や、死者に繋がる
医薬品製造大企業の治験や実験データねつ造が「枚挙にいとまがない」といえる状態。
大企業はマスメディアの重要なスポンサーですから、メディアの追及は形ばかり。
社会的な糾弾活動は広がらず、すぐに忘れ去られます。

2大政党が機能している米国では利益追求のために国民の健康を害する企業は
破産するまで徹底的に糾弾されます。
米国のアスベスト関連上場企業は壊滅的に破壊され、前編で紹介した
オピオイド危機主役の大企業もマスメディアの追求により倒産しました。



5. 歴史あるアセトアミノフェンなら安全か?

アセトアミノフェンは麻薬系鎮痛剤の一つです。
アスピリンなど抗炎症作用を持つ
非ステロイド系医薬品(NSAID:Non-steroidal anti-inflammatory Drugs)と異なり
元来は感冒などの頭痛、筋肉痛の鎮痛作用を目的に使用されます。

ドラッグの代替と考える若者はリン酸ジヒドロコデイン塩が容易に
大量購入できる法改正前はアセトアミノフェン(Acetaminophen)を使用していました。
より強力な麻薬系鎮痛剤が容易に大量に手に入るようになり、アセトアミノフェンを主体の
市販風邪薬は使用されなくなりました。
法改正後はリン酸ジヒドロコデイン塩が主流となったのです。

アセトアミノフェンは発見より150年くらいの歴史がある鎮痛剤ですが
中枢系神経に影響を与える医薬品として様々な副作用があります。
医療用アセトアミノフェンのメーカーによれば
呼吸困難、全身潮紅、じんま疹 (ショック、アナフィラキシー)
高熱、紅斑・水疱、関節痛 (中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性汎発性発疹性膿疱症)
息苦しい、喘鳴 (喘息発作の誘発)
全身けん怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる (劇症肝炎、肝機能障害、黄疸)
咽頭痛、発熱、筋肉痛 (顆粒球減少症)などの可能性を指摘しています。

中枢神経が支配する痛みの酵素抑制(*COXを阻害し*PGE2産生を抑制)に強い効能を持つだけに
医師はクラビット、クラリスロマイシンなどの抗生物質や
ワーファリン、プロモックスなど処方の多い医薬品との併用を避けています。

*COX2: (シクロオキシゲナーゼ2:cyclooxygenase2)
COX2は炎症や発熱などにかかわる悪玉のプロスタグランジンの生成に関与して
出現する酵素
*PGE2:(プロスタグランディン2:prostaglandin2)痛みや炎症に関係する、
内因性生理活性質

容量の大きい市販薬と異なり、医薬品は200㎎が最少単位であり、
一般的には体重10㎎/㎏くらいを最大としている心ある医師は用量にも慎重です。
市販薬の影響か?近年に使用量限度が拡大され、医薬品も300㎎が製造販売されていますが
長期的な安全性が保障されているわけではありませんから、使用量は少ないのが理想的。

アセトアミノフェン使用の市販風邪薬にはカロナール、アルピニー、ナパ等があります。
幼児にも使用されますが、不安を感じる関係者が多いのも事実です。
腎臓負担が軽いといわれ、慢性腎不全患者にも推奨されるといわれますが
透析を続けている腎不全では抱合機能が損なわれているから安全というのが実情。
かなり有力な最新研究では胎児が発達障害を引き起こす可能性が指摘されています。

アマゾンの「コンコン咳止め錠 120錠」を受託製造している
中外医薬生産株式会社(三重県)の「パラローンかぜEXゴールド」は
アセトアミノフェン(Acetaminophen)を主剤にしていますが(一回分900㎎)
他に麻薬系のデキスロメトルファン臭化水素塩水和物(8 ㎎)
メチルエフェドリン塩酸60mgを含有するために
購入者の大部分がリン酸ジヒドロコデイン塩同様に鎮痛や咳止め目的ではない
享楽目的といわれます。



6. 麻薬系鎮痛剤の習慣性により覚せい剤使用へ進行

大麻からスタートした薬物使用が覚せい剤のMDMA,LSDにも進み、最終段階ともいえる
植物アルカロイドのコカイン常用に陥るケースが珍しくありませんが、麻薬系鎮痛剤が
引き金になることも少なくありません。
医療での使用からスタートした場合でも6%くらいの患者に習慣性が発生し、先へ進む場合が
ありますが、覚せい剤の代用として使用する健常者が結局は覚せい剤へ進むことが多々あります。
覚せい剤は鬱状態から逃れ、鋭敏になる感覚で満足度を高めているうちに、
習慣性の罠(わな)に陥ることが必須といわれますが
抗体が出来ることもあり、用量が次第に増え、さらに効果が高い種類を欲するようになります。
また、永らく鎮痛を医薬品に頼ってきた高齢者の大部分は強い即効性を求めて麻薬系鎮痛剤を
所望するそうですが、腎臓不全や多臓器不全に進む患者が少なくないようです。

最終更新日 2021年4月25日

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