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巨人軍推奨サプリメントのドーピング疑惑

2019年9月30日

1. 巨人軍推奨サプリメントのドーピング疑惑

プロ野球読売巨人軍(以下巨人)は今年のセントラルリーグ優勝を
9月21日に決めましたが、25日になり、球団選手の衝撃的なドーピング疑惑ニュースが
報道されました。
内容は巨人とオフィシャル・ニュートリションパートナー契約を
結ぶ会社のサプリメント「アイアンSP」から世界ドーピング機関(*WADA)
指定禁止薬物(筋肉増強成分)が検出されたこと。
巨人選手を中心にプロ野球セパ両リーグに所属する選手が使用していたそうです
*World Anti-Doping Agency

2. ドーピング禁止薬物発見が25日に発表されたタイミング

疑惑が報道された9月25日は永年、リーグ壱の捕手として攻守に大活躍した
阿部選手の引退会見が開かれていた日。
引退を待っていたかのようなタイミングで報道されたことで、ネット上では
様々な憶測が飛び交っています。

公式には阿部選手の引退はコーチになって修業し原監督の後継者になるための
既定路線といわれますが、スターティング出場機会が増えてきた
今シーズン後半の阿部選手は、誰もがまだ数年はやれると考える
素晴らしい成績。
本人も現役継続を望んでいたそうで、突然の引退声明と捉える人も多く、
素直に受け取られていません。

3. 事件概要が不明な中でファンが不思議に思うこと。

問題のサプリメントが発売されたのは2019年6月
一般的にはスポーツ選手を対象とするサプリメントならば事前に疑義ある物質は
ドーピング禁止関連のチェックをします。
疑惑を持たれたサプリメントはビタミン剤のようにありふれた素材といわれ、
それなら「なぜ発売後に急遽検査をしたのか」、それには理由があるはずですが、
ファンには一切の説明がありません。

球団が説明するような製造ラインで違法物質が誤って混入することは、
(異例発生時の詳細な解説がないかぎり)日本の一流受託メーカーなら、まずあり得ません。
違法薬物混入を疑うならば原料関連(第5項)でしょう。
いずれにせよ摂取していた選手が違法物質混入を知っていたとは考えられませんから
見えざる事件の背景を監督や選手の名誉のためにも詳細に公表すべきでしょう。

4. なぜ読売巨人軍球団がサプリメント摂取を推奨していたか

世界のプロスポーツ界は競技選手のドーピング違反に常に悩まされ、
日本の野球も例外ではありません。
巨人にはゴンザレス投手の先例があり、球界では今年(2019年)夏に
広島のバティスタ選手、オリックスのメネセス選手が摘発され
追放されたばかり。
ドミニカ共和国で選手養成のカープ・アカデミーを主催し、日本へ選手をコンスタントに
スカウトしている広島カープを始め、中日ドラゴンスなどカリブ海諸国出身選手を
複数採用しているチームは常にドーピング疑惑に悩まされています。

特に広島カープが築いた選手育成のビジネスモデルに米国大リーグが追従してからは
良質な選手育成が困難になっているようです。

スポーツ飲料やスポーツ・サプリメントの過剰摂取と長期使用は
安全ではありません。
開発されて50年に満たない合成甘味料や合成アミノ酸、ミネラル類の
安全性を言い切れる研究者がいないからです。

安全性が確認されているのは伝統的な食材として数百年以上の実績を持つ
素材だけですから、選別には格別に慎重でなければなりません。
一般的には指導者はサプリメントを選手に推奨をすることを避け、
選手の自己判断、自己責任に委ねています。

巨人で栄養士による選手の栄養指導にサプリメントが含まれているとしたら、
今回のトラブルは監督、選手には責任がありませんから
現段階では球団、監督などの関与を想像することはできませんが
「監督推奨が*ラベルに記されている清涼飲料」や、宣伝文に阿部選手が常用者の
筆頭として記されているサプリメントが存在することは事実です。
*原監督が筆で書いた球団の2019年スローガン「和と動」がラベルに
プリントされたスポーツ用エネルギー・ドリンク

5. サプリメント原料に非表示の違法物質混入

アメリカ、ロシア、中国などではドーピング指定禁止薬物が
検出されないように新しい合成法が常に開発されているといわれます。
10数年前には新開発された違法薬物を多くの米国大リーグ選手が使用していた
事件がありました。
検出できる精度の高い機器が開発されて摘発されるまで、検査を潜り抜けて
いた選手は約800人といわれています。
オリンピックに出場するレベルの投擲競技、短距離などの陸上競技、
レスリングなどの選手も検査を潜り抜けることが可能な違反物質の
新合成法を血眼で探しているといわれます。

また、中国などでは強精強壮剤や生活習慣病関連の生薬に表示されないバイアグラなど
医薬品が混入されているケースが珍しくありません。
合成アミノ酸やマルチビタミン・ミネラルのサプリメントに表示されない
医薬品を混入し「他と較べ格別に効果が高い」として売られることも
多々あります。

6. サプリメント過剰摂取から危険な医薬品中毒に進行
スポーツ選手がサプリメントを摂取する目的は「疲労回復」「筋力増加」
「赤血球増加」「気力高揚」「持久力増加」など。
大別すれば「脳に働く素材」と「筋力、体力増強に働く素材」

どちらにも市販されている医薬品があり、乱用が社会問題化しています。
中枢神経、末梢神経に働く麻薬成分のオピオイド鎮痛剤、筋肉合成に働く
アナボリック・ステロイドなどは過剰摂取に危険性が懸念されており、
行き着く究極は廃人や中毒死です。

日本では若者中心に蔓延していたドラッグと称される覚せい剤の
使用が急減し、代わりに鎮痛医薬品が大量に使用されるようになっています。
鎮痛医薬品の用途の半分以上が医療ではなくドラッグの代用として
使用されているようですが、これを承知の医薬品製造会社、医療関係者、
監督官庁などは、売上ファースト。
規制することなく傍観しているそうです。
永年にわたり築かれた医療関係者の既存ネットワークは簡単には崩れません。
*2013年7月にドーピングに使われるアナボリックステロイド
(蛋白同化ステロイド類)とアンフェタミン (Amphetamine) 型覚せい剤疑惑が
再び米国プロスポーツ界で浮上。
メジャーリーグベースボールではヤンキースのアレックス・ロドリゲス以下20名以上が
疑惑の渦中といわれます

7. アミノ酸常用アスリートの腎臓機能障害

日本のスポーツ選手の摂取するサプリメントは「筋力、体力増強に働く素材」を
期待する合成アミノ酸やミネラル、ビタミン類がほとんどです。

プロ、アマを問わずスポーツ選手が合成アミノ酸の服用で筋力増強、
体格改良に安易に取り組んでいますが、過剰摂取や連用が腎臓障害の多発を招き
怪我の頻発に繋がっているのではと研究者らは危惧しています。
腎不全が筋肉、骨に大きな影響を与え、機能を阻害するからです。

事実、筋力増強のために、しばしばアミノ酸を常用しているアスリートは
腎臓機能障害を発症している実例が多いといわれます。
「合成アミノ酸により腎臓機能が害されてカルシウム吸収に
必要な機能(bone resorption)が失われ骨粗しょう症(osteoporosis)の原因となる」

これらは日常的な摂取量を大幅に超えれば効果は高くはなりますが、
永続性がありませんからそれを期待すれば、医薬品に移行するか
摂取量を増やして行かねばならず、過剰な摂取量は体内の栄養バランスを崩し
体機能に様々な異常が発生するようになります。

 

血中酸素供給量は赤血球のヘモグロビンを構成する鉄分を別途供給することにより
増やすことが出来、長距離レースの記録を短縮することが可能ですが、
過剰鉄分は腎臓疾患、肝臓障害、糖尿病、動脈硬化の原因となり寿命を縮めること
になります。

8. 筋力増強アミノ酸の過剰摂取を中止した日本人大リーガー
すでにご報告したことですが、アメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)で
永年活躍を続けたイチロー選手。
2016年のシーズン後半からは一部の筋肉のみを増強するトレーニングをやめたそうです。
一部を増強することで全体のバランスが崩れるために、期待されたパワーを得るどころか
悪影響が目立ってきたからとのこと。
これはアミノ酸もバランスが重要なことに通じます。
イチロー選手は合成アミノ酸サプリメントの有害性が警告されたころに
中止しているようですが、合成アミノ酸サプリメントはアスリートが筋肉に十分な
グリコーゲンを蓄えるための
糖質合成(incorporate enough carbohydrates )を困難にします。

最終更新日 2021年4月26日

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