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長寿社会の勝ち組となるには(その34): トランプ大統領が火をつけた腎臓病治療の構造改革

2019年7月13日

1. トランプ大統領の腎臓病治療法改善政策

7月10日にトランプ大統領が大統領令にサインした腎臓病治療法の見直し。
テーマの*新政策は、増え続ける膨大な血液透析費用の削減。
医療財政破綻に直面する先進諸国の苦悩を露わにしています。
*「Advancing American Kidney Health」

トランプ大統領の政策は概論の段階ですが、腎臓病を患っている国民の
治療選択肢を増やし究極では患者の負担を削減することが骨子。
改善策は
1.腎臓病を患う人の減少策
2.血液透析患者の減少策、
3.血液透析費用の削減。
米国には3,700万人の*慢性腎臓病患者が存在し、100万人超のdailysis(血液透析治療)が
実施されているといわれます。
*慢性腎臓病患者:Chronic kidney disease (CKD)
腎臓の血液透析(浄化)機能が60%くらい以下に低下している人

毎年の死亡者が約8万人に対し*新規血液透析治療者と予備軍が約10万人増加しています。
血液透析治療の成果により、死に直面する重症患者は約72万人強と低く抑えられ、
死因も9位ですが、血液透析に一人約9万ドル(約1000万円/年)を
必要とします。
*新規血液透析治療者:腎臓の血液透析(浄化)機能が10%-15%以下となった重症患者

国民の約1割強を占める患者には1,140億ドル(約11兆4000億円)の
保健料が支払われていますが、これは全体予算の約20%。
完治を期待できる腎臓移植は約10万人が順番を待っています。

大統領令では*厚生省(HHS)傘下の*CMS が*CMMIを通じて在宅透析、
腎臓移植、家庭での腎臓病予防策に、奨励金を含めた具体的な
必要経費目標を示しています。

*HHS:U.S. Department of Health and Human Services
米国厚生省 傘下には著名なFDA、CDCや、幾つもの癌関連や感染症の研究所など
多数の行政機関があります。
*CMS :Medicare & Medicaid Services
社会保障法に従って、新しい支払いおよびサービス提供モデルを開発する機関。
高額治療費の負担が困難な罹病患者の負担の軽減策を行政が提示、指導する
役割を担っています。
*CMMI:Center for Medicare and Medicaid Innovation
*Medicare(メディケア)は連邦政府が管轄する高齢者、障害者など弱者向け
公的医療保険
*Medicaid(メディケイド)は連邦政府が州政府と共同で行っている医療扶助事業。

 

2. トランプ大統領令の健康関連政策の背景

トランプ大統領は就任前から「製薬会社、保険会社、診療機関は低所得者を
ないがしろにし、暴利をむさぼり、国家財政を危機に陥らせる」と
非難し続けていました。
世界の医薬品市場約200兆円の40%以上を米国が占め、
欧州主要5か国の13.5%を加えると5割を超えます。
中国の10.8%、日本の7.3%を加えれば世界医薬品市場の7割は先進諸国の巨大製薬企業が
支配(2015年)。
一部の先進国における製薬会社の寡占状態は健全な価格形成を困難にします。
生命に関することですから、新薬の発売価格は主導権を持つ医薬品会社に
コントロールされて、癒着や慣れ合いで政治的に決められることが多く、
結果として各国の医療財政は圧迫され続けています。

支出を補完すべき米国の保険会社は富裕層を主ターゲットにし、低所得層は軽視。
高額な医療負担に耐えられず自己破産した患者の6割以上が
保険に加入していたと囁かれているのが、低所得層対象保険の実態です。

トランプ大統領政権が、オバマ大統領に発令された国民皆保険制度(オバマケア)に反対し、
財政圧迫を軽減する新制度を導入することに拍手する国民も多いといわれます。
トランプ大統領の政治姿勢が腎臓病の最大のリスクファクターといわれる医薬品の
製造会社や、医薬品を投与し、血液透析を実施する病院など診療機関が、
高額な医療費を国家に請求する「マッチ・ポンプ」状態を破壊することだからです。
*放火をした者が消火の先頭に立ち功労者となること。

オバマケアは当然のことながら(すでに保険会社と有利な条件で契約できている富裕層や
高所得者ではなく)低中所得者の加入が多いため、医療財政を急激に圧迫するのは必然。
トランプ大統領政権はこの財政負担軽減を目標としていますから、
低所得層が不利になるケースもあり、現時点での国民の賛否はさまざま。

ただしトランプ大統領政権の主旨は製薬会社、保険会社、診療機関の実態を
改善させないままに国民皆保険を実施しようとしたオバマケアに反対し、
製薬会社、診療機関の余剰利益を吐き出させること。

低所得層が不利になる条項については製薬会社、診療機関に負担を求め、
最終的には低所得層を優遇するよう改善されることが期待されていますが
成否はまだ予想できません。
すでに下院で新しい米国医療保険法(American Health Care Act:AHCA)を
可決し、新法はトランプケアと呼ばれるようになりましたが、
オバマケアとは一長一短であり、上院がどのように動くかは予断をゆるしません

silver and black round analog watch

3. 日本の腎臓病患者は医療財政圧迫と引き換えに護られる。

米国同様に医薬品(類似品サプリメントを含む)が隅々まで普及している
日本も腎臓病患者が多く、約1,300万人。
人口を修正すれば発症者は米国とほぼ同率です。
腎機能が正常状態の10-15%となった血液透析治療患者数は約40万人。
急増している腎不全患者により毎年10%くらい血液透析治療患者が増加していますが、
その比率も米国並み。
血液透析関連の国家支出は1兆円/年を超えています。

世界では8.5億人が腎臓疾患に罹病しているといわれ、癌や心血管病に次いで
世界中が対応策を模索しています。
血液透析を続ければ致死率が低くなるために、注目度が癌ほど高くありませんが、
不便な透析による生活の質の急低下、国家や自身が負担する医療費の
膨大なことを考えると、もっともっと注目しなければならない病。

腎臓不全は他を原発とする疾病の最終着陸点だけではありません。
腎臓病の原発から糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、癌(がん)などに波及するケースも
少なくありませんから、これを正確に算入すれば、死因がトップの疾病となるでしょう。

日本ではオバマケア同様に製薬会社、保険会社、診療機関の実態を
改善させないままに国民皆保険を実施しています。
すでに40兆円を超えている医療財政が破綻に向かってもおかしくない内容です。

今月になり、かんぽ生命保険が契約者を騙す勧誘内容だったことが糾弾されています。
いまでこそ「生涯契約内容と掛け金は変わりません」との商品ができましたが、
多くの70才を超えている高齢者が、若い時から掛け続けた生命保険を60才で打ち切られ、
高額を要求される再契約をできずにいることを忘れてはならないでしょう。
生命保険会社がやってきたことは、かんぽ生命保険や
アメリカの保険会社とかわりありません。
掛け金の還元策を持たない保険会社が膨大な利益を得ていることを指摘する
政治家の存在がないからこそ、可能だったこれまでのシステムの不合理。
トランプ大統領が教えてくれたといえます。

 

4. 腎臓病治療薬エリスロポエチンの精製(既掲載記事の一部を転載)

腎臓が寿命を決定し、「肝腎連関」という言葉が生まれたのは古いことではありません。
腎臓機能の研究は1977年に骨へのメッセージ・ホルモンの
エリスロポエチン(EPOerythropoietin赤血球増多因子)が精製されてから
飛躍的に進歩しました。
発見したのは大阪大学の宮家隆次博士(みやけ)らで、1985年には遺伝子のクローニングに
成功しましたが、ハードルが高かった医薬品の製造には至りませんでした。
エリスロポエチンはその後の実用化研究にシカゴ大学の協力を得たことで宮家隆次博士の思惑とは
異なる方向に進展してしまいました。
医薬品の特許は米国のベンチャー企業アムジェン(Amgen inc)が取得。
高価な医薬品として発売されました。

特許を得たアムジェンはエリスロポエチン製剤をベースに、今やタケダを凌ぐ大企業。
いつもながら「トンビに油揚げ」の悲しい話です。
赤血球を増やすエリスロポエチン製剤は効果の高い薬ですが急性高血圧による
脳卒中、心筋梗塞の危険性が否めません。
脳卒中、心筋梗塞で亡くなる方々の相当部分が医薬品による腎臓疾患を
原発とするといわれています。
(この先は下記を参照してください)

 

5. 一酸化窒素(NO)の合成を図ることで腎臓障害を改善

腎機能不全が正常値の60%くらいまでの初期、中期の腎臓障害、急性腎臓疾患は投薬を控え、
食生活や生活習慣で一酸化窒素(NO)の合成を図ることで改善が得られます。
腎臓機能の低下は全身の血管内皮の一酸化窒素合成(NO)機能を低下させるからです。

京大で医学を学び、現在は福井大学で教授を務める新進気鋭の
塚原 宏一博士が日本小児腎臓病学会雑誌に掲載した考察は
説得力のある貴重な学説です。
「一酸化窒素(NO)と腎臓―個人的考察」で検索してみてください。
その他の参考記事

腎臓機能の低下で全身の血管内皮の一酸化窒素合成(NO)機能も低下します。

第2項:医者により廃人にされた腎不全患者
悪質な商法の顕著な実例は自己治癒力が機能しなくなるのを承知で患者を廃人にした
「歌う医者」事件が有名。
腎不全の患者紹介で「歌う医者(ギター伴奏で歌うのが趣味)」と通称された医師が
病院などと語らって劇場型の不正事件を起こしたケースです。
腎不全初期に必要なアドバイスもせずに、医院、病院の売上目標の1か月40万円になるように
患者の透析回数を不必要に増やし自己治癒力を喪失させていました。
蛋白を減らしエネルギーを失わない食生活で腎不全進行を極力抑える段階にもかかわらず、
結局は重度の透析法でなければ生きていけなくなりました。

人間の体は死ぬまで自己治癒力を持っています。
加齢や疾病でそれが低下した時に補うには適量でなければなりません。
過剰な摂食が続けばせっかく保持していた自己治癒力が機能しなくなります。
体が全くの怠け者になるわけです。

最終更新日 2021年4月27日

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